これまでの研究で苦味のある抗不安薬ミダゾラム(注射剤)を封入したリポソームを開発したが、1週間しか封入率の安定性が保てず、苦味の消失も完全ではないと考えられる。本研究では長期保存法の検討および甘味の付与を目的とし研究を実施している。 平成23年度は凍結乾燥法確立のための前段階の研究を開始した。まずは凍結乾燥法や安定性の向上が言われているトレハロースやPEGをリポソーム作成時に加えて、安定性の向上を検討した。添加する濃度を検討した結果、10%トレハロース、PEG9%を加えると高い封入率が得られ、3週間後も保持率が維持できることを確認した。 平成24年度はトレハロースおよびPEG添加なし、10%トレハロース添加あり、10%トレハロースおよび9%PEG添加ありのミダゾラム封入リポソームの凍結乾燥を行い、比較検討した。リポソームへのミダゾラムの封入率は添加なし20%に比べ、10%トレハロース添加ありでは27%と増加していたが、10%トレハロースおよび9%PEG添加ありでは12%と低下していた。 平成25年度は10%トレハロース添加したリポソームの長期保存について、3週間後に加え、6週間後、3か月後、6か月後でもミダゾラム封入率の経過をおった。更に、ミダゾラム封入リポソームを細粒化する方法を確立するための前段階の研究を開始した。従来型を細粒化すると封入されていたミダゾラムが流出してくるため、リポソームの組成を変更したり、細粒化する装置を工夫したり、10%トレハロースやPEGを添加したりなど封入率の維持および向上を検討している。今後は細粒化法を確立し、更には高い封入率を保つ細粒化後のミダゾラム封入リポソームの凍結乾燥を行っていく予定である。
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