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2011 年度 実施状況報告書

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に関与する分子の網羅的探索

研究課題

研究課題/領域番号 23792347
研究機関広島大学

研究代表者

中川 貴之  広島大学, 病院, 病院助教 (30456230)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード口腔外科学一般
研究概要

まずマウス破骨前駆細胞をビスフォスフォネート(以下BP)製剤投与下、非投与下で培養しM-CSFとRANKLでの破骨細胞への分化誘導を行った。その結果BP非存在下で分化誘導を行った細胞に関してはTRAPassayにて陽性であったのに対し、BP存在下で分化誘導を行った細胞に関してはTRAPassay陰性であり、成熟破骨細胞への分化が行われなかった。この結果からBPがRANKLを介した破骨細胞分化誘導に影響を及ぼす可能性が示唆された。このためBP存在下と非存在下で培養したマウス破骨前駆細胞に関して、M-CSFおよびRANKLでの分化誘導前後において発現レベルの異なる遺伝子を抽出するため、cDNAマイクロアレイにて発現解析を行った。BP、RANKLともに未処理のものをコントロールとし、BP単独処理のサンプル(BP)とRANKL単独処理のサンプル(RANKL)、またBPとRANKL両方で処理を行ったサンプル(BP+RANKL)で比較した。この中からRANKL投与下でBPにより発現の影響を受ける遺伝子を検討するため、(BP)と(BP+RANKL)で発現変化がなく、(RANKL)において2倍以上の発現変動の見られた遺伝子を抽出した。その結果、714個で2倍以上の発現上昇がみられ、875個で2倍以上の発現低下がみられた.また発現上昇を認めた遺伝子の中にRANKLのマスターレギュレーターとして報告のある、NFATc1遺伝子を認めた(RANKL:BP+RANKL=4.1:1.1)。以上の結果から、BPがRANKLのマスターレギュレーターであるNFATc1の発現に影響を与え、破骨細胞分化が阻害されている可能性が示唆された。なおNF-κB p50やMITFなどの他の破骨細胞分化誘導にかかわる転写因子やシグナル因子には発現変動は見られなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在マイクロアレイで抽出したデータ解析を進めているとともに上記のNFATc1に関しての詳細な発現解析を進める予定である。当初は試料の不足によるマイクロアレイに使用する細胞サンプルの調整で難航することも予想されたが、予定通り結果を得ることができた。今後標的遺伝子の発現変動を調べるため、さらに多くの試料の調整に時間を要する可能性が考えられるが、着実に実行する予定である。

今後の研究の推進方策

先般、抗ヒトRANKLモノクローナル抗体製剤であるデノズマブが固形癌や多発性骨髄腫の骨病変に対して発売された。その添付文書にはBPと同様の頻度で顎骨壊死が発生することが明記されており、BPとデノスマブが異なる作用機序で破骨細胞分化に影響を与えるにも関わらず、同様の副作用を生じることを示唆している。本研究ではRANKLのマスターレギュレーターであるNFATc1の発現を通じてBPとデノスマブの顎骨壊死の原因となる共通因子を見いだせる可能性がある。このため、必要に応じてRANKLモノクローナル抗体を作用させたサンプルも作成し、検討する予定としている。

次年度の研究費の使用計画

試料となる破骨前駆細胞の購入費、並びに消耗品の購入や研究成果の発表のための学区解散可否に使用する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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