研究概要 |
癌化学療法の問題点として、癌細胞の抗癌剤耐性の獲得がある。docetaxel(DOC)は口腔癌に対して高い抗腫瘍効果を示すものの、その抗癌剤耐性化機構についてはほとんど解明されていない。そこで、申請者は、①DOC耐性口腔癌細胞株の樹立,②その耐性化機構の解明を研究目的とした。DOCに対して感受性のある癌細胞から抵抗性の癌細胞を樹立し、両方の癌細胞株間でmRNAとmicro(mi)RNAの発現変化を解析し、耐性化に関わる標的遺伝子とmiRNAを同定することを考えている。さらに、同定された遺伝子とmiRNAが薬剤耐性のバイオマーカーあるいは治療の標的因子になりえるか検討し、DOC耐性化機構の解明に着目し、耐性化に関わる標的遺伝子とmiRNAの同定およびその機能解析、臨床応用することを、目的とした。 ヒト口腔扁平上皮癌細胞をin vitroにてDOCで処理し、DOC耐性癌細胞の樹立を試みた。本研究には当教室において樹立した培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞株であるB88細胞とCAL27細胞株(ATCCより購入)を用いた。両細胞をDOC 50, 75, 100, 125 ng/mlと順次、濃度をあげて培養したが、なかなかDOC耐性の細胞の樹立は困難であった。慎重に何度も徐々に濃度を上昇していき、耐性へと導き、両in vitroでのDOCの細胞増殖はMTT assayを用いて検討したところ、親株に比較して、細胞増殖の高い細胞を作成することが可能であった。
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