研究課題/領域番号 |
23792354
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林田 淳之介 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80432920)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 口腔扁平苔癬 / サイトカイン / ヘルパーT細胞 |
研究概要 |
口腔扁平苔癬(OLP)は、口腔粘膜に角化異常を伴う慢性炎症性疾患であり、基底膜直下へのT細胞を主体としたリンパ球浸潤を特徴とする。今回われわれは、ヘルパーT (Th)1、Th2に加えて、近年自己免疫疾患や慢性炎症疾患において病態形成との関連が報告されているTh17や制御性T細胞(Treg)に注目し、それらのThサブセットについても検索を行った。【材料および方法】当科を受診した両側頬粘膜に発症した網状型を呈したOLP患者15例(男性1例、女性14例、平均年齢62.8歳)および健常者10例(男性1例、女性9例、平均年齢61.3歳)を対象とした。これらの症例の生検材料を用いて、real-time PCR法および免疫組織化学染色法により、それぞれのThサブセットが産生するサイトカインおよび特異的な転写因子の発現について検索を行った。【結果】OLP患者は健常者と比較して、Th1、Th2およびTh17タイプの関連分子の発現が亢進していたが、Tregタイプについては有意差を認めなかった。Th17について注目すると、IL-17は上皮直下に浸潤したリンパ球に発現の亢進を認め、IL-23は角化亢進が著明な基底層に加え上皮全層および上皮直下のリンパ球に発現の亢進を認めた。【考察】これらの結果より、Th1とTh2に加えTh17がOLPの病態形成に関与しており、さらに上皮の角化亢進との関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔扁平苔癬におけるT細胞が産生するサイトカインやThサブセットの選択的な遊走・集積に関連するケモカイン・ケモカインレセプターの発現について解析を行ってきた。しかしOLP病変局所におけるThサブセットの局在やサイトカイン等を発現する細胞の同定には至っていない。そこで本研究では、OLPの病態形成に関わる分子機構を明確なものにするために、最終的にはLaser Capture microdissection (LCM) 法を用いて病変局所の詳細なサイトカイン・ケモカイン・ケモカインレセプターの発現を解析する予定である。現在のところ、Real time PCR法、免疫組織化学染色法を用いた解析を行っているが、当初の計画どおりの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、OLPの病態形成に関わる分子機構を明確なものにするために、Laser Capture microdissection (LCM) 法を用いて病変局所の詳細なサイトカイン・ケモカイン・ケモカインレセプターの発現の解析と、さらにThサブセットのついては、Th1/2、Treg、Th17からなるOLP病態形成T細胞ネットワークをLCM法、Real time PCR法、免疫組織化学染色法を用いて解析する予定である。本年度は、Real time PCR法、免疫組織化学染色法を用いた解析を行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
Real time PCR法と免疫組織化学染色法に必要なPCR用プライマーならびに免疫染色用の抗体を購入する。また、それらの報告と、あらたな見識を深めるために、学会等に参加する費用を支出する予定である。成果がはかどれば、本年度のうちに論文の作成にとりかかることにする。
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