研究概要 |
本研究は過剰歯歯髄からiPS細胞を樹立することを目的に、まず、遺伝子導入のためのプラスミドの増幅を行った。ヒト由来のOCT3/4, SOX2, KLF4, L-MYCについて、E.coli内に導入してLB Brothで12~14時間培養後、バクテリアを回収しプラスミドを精製し、制限酵素にて永動確認を行い、DNAシーケンスにて確認を行った。 続いて患者から採取した歯髄細胞を、コラゲナーゼを用いて初代培養し、30日間培養維持した。口腔内の由来の細菌などのコンタミンの可能性があるため、20%FBS/α-MEM培地に複数の抗生剤を組み合わせて、ほぼ確実な初代培養が行えるようになった。 十分量の細胞数を確保できたので、その歯髄細胞に4因子(OCT3/4, SOX, KLF4, L-MYC)のプラスミドベクターを導入した。当初の予定とは異なるが、効率性を考慮し、electroporation systemにて導入作業を行った。導入効率としては、6割程度に蛍光遺伝子の導入が確認できた。 約1か月後にiPS細胞を樹立後、シングルセルクローニングを行い、形態的に良好なクローンをピックアップした。さらに、RT-PCRにてcDNAを作製し、ヒトES細胞に関連する遺伝子発現があることを確認した。また、アルカリフォスファターゼに対し、ポジティブであった。 現在、免疫不全マウスに樹立iPS細胞を移植し、移植後約1か月経過しており、奇形腫の生成を確認している。
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