研究課題/領域番号 |
23792383
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
南雲 達人 昭和大学, 歯学部, 助教 (70555078)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 低酸素 / 転写因子 / HIF-1 |
研究概要 |
1)口腔扁平上皮癌細胞株からの癌幹細胞の濃縮 ALDH assayにて癌幹細胞の濃縮を行い、FACSAria II(BD)を使用したフローサイトメトリーにより各種口腔扁平上皮癌細胞のALDHhigh CD44+分画を解析した。また、ソーティングにより分離後、NOD/SCIDマウスに移植を行い、腫瘍形成能を検討することにより濃縮した細胞が癌細胞の性質を有しているか確認した。2) 低酸素による口腔扁平上皮癌細胞株の脱分化誘導 Hypoxia workstation Inivo 2 (Ruskinn)内で口腔扁平上皮癌細胞株を1%O2下で培養し、脱分化を誘導する。低酸素環境下で幹細胞様に変化したかどうか以下の実験を行った。3) 低酸素培養癌細胞におけるALDH活性の解析 低酸素培養癌細胞におけるALDH活性、表面抗原であるCD44の発現をフローサイトメトリーにて解析した。4) 低酸素培養癌細胞の遺伝子発現解析 低酸素培養癌細胞からtotal RNAを抽出し、Real-time PCRで幹細胞関連遺伝子(Oct-4、Sox2、Nanog、c-myc、Nestin、Musashi、β-catenin)、ABCトランスポーター(MDR-1、MRP-1、ABCG2)の発現を解析した。5) 低酸素培養癌細胞のSphere形成能の解析 増殖因子を添加した無血清培地で細胞を培養することにより、Sphere(細胞塊)の形成を促す。低酸素培養、非低酸素培養でその数を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、おおむね研究計画の通りである。
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今後の研究の推進方策 |
1) 口腔扁平上皮癌細胞株におけるHIF-2αの発現解析低酸素培養、非低酸素培養癌細胞、双方でのHIF-2αタンパクの発現をWestern blottingにて解析する。2) HIF-2α遺伝子ノックダウンが低酸素環境下における脱分化に与える影響についての解析HIF-2α遺伝子に対するsiRNAを合成し、低酸素培養癌細胞へリポフェクション法を用いて導入し、HIF-2α遺伝子をノックダウンする。mRNAとタンパク発現の低下で導入効率を評価する。導入した細胞について、フローサイトメトリーを用いたALDH活性、CD44発現の解析、Real-time PCRによる遺伝子発現解析、Sphere形成能の解析を行い、遺伝子ノックダウンにより脱分化癌細胞が再分化する可能性を検討する。3) HIF-2α遺伝子の強発現が癌細胞の脱分化に与える影響についての解析レトロウィルスを用いた遺伝子導入による強発現細胞株を樹立する。HIF-2α遺伝子をRT-PCRで増幅後、エントリークローンであるpENTER-D-TOPO (Invitrogen)へサブクローニングする。それをGateway cloning system (Invitrogen)を用いてpMXsベクターへ転換する。レトロウィルス調整用の宿主細胞としてPLAT-E packaging cellsを使用し、Fugene 6 transfection reagent (Roche)でトランスフェクションを行い、24h, 48h後細胞上清を回収する。回収した上清をフィルター濾過して、組み換えレトロウィルス液とする。レトロウィルス液と癌細胞を24~48h共培養することにより遺伝子導入を行う。得られた強発現株を用い、2)と同様に各種解析を行う。また、HIFの阻害剤を作用させることによる、再分化の可能性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「今後の研究の推進方策」に示した研究方法にのっとり、主に消耗品購入を予定している。
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