研究課題
今年度は口腔前癌病変の癌化に関わる因子として癌幹細胞に着目し、口腔白板症と口腔扁平上皮癌の検体を用いた解析を行った。癌組織中にも組織幹細胞と同様に自己複製能と分化能を有し、腫瘍形成に関与する癌幹細胞(Cancer Stem Cell: CSC)が存在することが知られており、癌細胞の浸潤や転移に直接関与するとされている。CSCマーカーとしてCD44とCD133が報告されているが、口腔前癌病変や扁平上皮癌(oral SCC:OSCC)における発現様式について不明な点が多い。今回、OSCC原発組織中のCD133とCD44の発現量を解析することで、各マーカーの発現と臨床病理学的因子およびリンパ節転移との関連性について検討することを目的とした。real-time PCR法による解析によりOSCC原発組織におけるCD133mRNA発現量は、白板症組織では正常口腔粘膜に比べて有意な高発現を認めなかったが、OSCCの進行度や頸部リンパ節転移と関連することが明らかとなり、有用な予後予測因子となり得る可能性が示唆された。癌幹細胞の発現解析を行うことで、より早期に口腔癌の初期病変を検出することが可能となり、癌化メカニズムにも深く関与している可能性が示唆される結果となった。以上の結果をまとめて、論文としてJournal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine and Pathologyに投稿し掲載受理された。
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine and Pathology
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10.1016/j.ajoms.2014.02.003