研究課題/領域番号 |
23792392
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90380089)
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キーワード | 骨再生 / 軟骨再生 / 神経再生 / 細胞治療 / 再生医療 |
研究概要 |
本研究は、歯髄幹細胞による細胞シートを用いた臨床応用の実現を目的としている。本年度においては、前年度に歯髄幹細胞による細胞シートを作製し、さらに骨分化誘導培地にて培養することにより骨基質タンパク質を含む細胞シートの作製が可能であることを確認した。本年度では、まず、この骨誘導により作製した細胞シートを免疫不全マウスの頭蓋骨欠損部に移植し、骨再生の可能性について検討を行った。予想していた結果に反して、骨誘導を行った細胞シートでは骨再生は認められず、誘導せずに作製した細胞シートにて骨再生が認められた。しかし、再生骨の厚さは正常骨に比較して薄いものであった。今後、さらに正常骨に近い形状に再生する方法を検討する必要がある。この結果については、3rd TERMIS World Congress 2012 “Tissue Engineering and Regenerative Medicine”にて結果を発表するとともに現在投稿中である。 次に、軟骨および神経細胞シートの作製を検討した。歯髄幹細胞より軟骨および神経分化に関連する培養液にて培養することにより細胞シートを作製した。軟骨細胞シートはアルシアンブルー染色に陽性を示し、RT-PCR法にて軟骨に特異的なマーカーであるType II collagen, sox 9の発現を示した。神経細胞シートでは、免疫染色にて神経のマーカーであるNeurofilamentの発現を確認し、RT-PCR法においてもNeurofilament、NSE(neuron specific enolase)の発現を認めた。これらの結果から、軟骨および神経細胞シートが軟骨、神経の再生への有用性が示唆された。次年度においては、これらの軟骨、神経細胞シートを動物モデルに移植して、組織再生の可能性を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯髄幹細胞による細胞シートの作製は比較的容易であり、また、分化誘導法においてもこれまでわれわれの研究グループで開発してきた誘導方法を参考にすることにより、細胞シートの誘導条件の設定も可能であった。また、軟骨および神経細胞シートの特徴を検討する際にも予想通りの結果を得ることができたため、当初の計画通りにほぼ順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において、骨再生を可能とする細胞シートを作製した。また、軟骨および神経に誘導した細胞シートも作製した。今後としては、まず、軟骨、神経に誘導した細胞シートにより生体内で軟骨・神経が再生し得るかについて検討を行う。神経については、組織学的な再生のみならず、機能的な面でも検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、動物実験により細胞シートの有用性を証明するため、動物実験に必要な器具や薬品、また、組織学的検討が主となるため、パラフィン切片作製のための薬品、免疫染色に必要な薬品および抗体等の購入に使用する予定である。また、これらの研究成果発表を国内外にて、また研究打ち合わせを国内にて行う予定であるためその旅費にも利用する。
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