研究課題/領域番号 |
23792396
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
稲村 吉高 大阪歯科大学, 歯学部, 研究員 (80595794)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 虚血性心疾患 / 心筋保護 / 揮発性麻酔薬 / オートファジー / アポトーシス |
研究概要 |
モルモットのLangendorff灌流心を用い,30分間虚血,120分間再灌流を行った.これを対照群(CTL:n=8)とし,セボフルラン(1MAC;2%)を虚血再潅流直後に2分間又は再灌流中通して投与した群(POST,POST-L:n=8),オートファジー阻害剤である3MAを虚血10分前より再灌流中通してCTL, POST群に投与した群(CTL+3MA,POST+3MA,n=6)の5群を作製した.それぞれ左心室圧(LVDP),左室終末拡張期圧(LVEDP),冠灌流量,心筋梗塞サイズ(IS; TTC染色)を各群間で比較した.また,全群再灌流10分又は120分後に心筋を採取し,Western blotによりオートファジー関連蛋白であるLC3I, LC3IIの発現について検討した(n=4). 虚血再灌流後,POST,POST-LはCTLに比べてLVDPは有意に高値で,LVEDPは有意に低値であった.梗塞サイズはPOST,POST-LではCTLに対し有意に減少した.POST,POST-LにおけるLC3-II/Iの発現は再灌流10分では全群で有意差は認めなかったが,再灌流120分でCTLよりも有意に増加していた. POST,POST-LでみられたLC3-II/I発現の増強は3MAの投与により消失した. セボフルランによるポストコンディショニング効果はオートファジーを誘導し,梗塞サイズを減少させた.この保護効果はオートファジー抑制剤3MAの投与によって消失した.セボフルランによるポストコンディショニング効果の心筋保護効果にはオートファジーの誘導が必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しており、現在の達成度は75%である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られたwestern blotのデータが心筋細胞由来であることを確認するために採取した単離心筋細胞を用いオートファジー関連蛋白であるcathepsin B, Beclin-1, LC3-II/LC3-Iの発現を検討する。 また、電子顕微鏡によりオートファゴゾームとアポトーシス細胞の特徴とされる細胞の萎縮、核クロマチン凝集、細胞内小器官の形態学的性状などの超微構造を群間で比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Hartley系クリーンモルモットを使用して虚血再灌流実験や心筋細胞分離を行う。本研究計画では年150-180匹必要と考えられる。購入後、約2ヶ月飼育するため餌代も必要となる。その他、灌流液作成のための試薬およびシグナル伝達物質の阻害薬と発現を調べるためのwestern blot用の抗体、transfection, cell isolation用の試薬などの購入が必要となる。
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