研究概要 |
モルモットのLangendorff灌流心を用い,30分間虚血,120分間再灌流を行った.これを対照群(CTL:n=8)とし,セボフルラン(1MAC;2%)を虚血再潅流直後に2分間又は再灌流中通して投与した群(POST,POST-L:n=8),オートファジー阻害剤である3MAを虚血10分前より再灌流中通してCTL, POST群に投与した群(CTL+3MA,POST+3MA,n=6)の5群を作製した.それぞれ左心室圧(LVDP),左室終末拡張期圧(LVEDP),冠灌流量,心筋梗塞サイズ(IS; TTC染色)を各群間で比較した.また,全群再灌流10分又は120分後に心筋を採取し,Western blotによりオートファジー関連蛋白であるLC3I, LC3IIの発現について検討した(n=4).また,同様に再灌流後の心筋を採取し,電子顕微鏡にてオートファゴゾーム形成の評価も行った. 虚血再灌流後,POST,POST-LはCTLに比べてLVDPは有意に高値で,LVEDPは有意に低値であった.梗塞サイズはPOST,POST-LではCTLに対し有意に減少した.POST,POST-LにおけるLC3-II/Iの発現は再灌流10分では全群で有意差は認めなかったが、再灌流120分でCTLよりも有意に増加していた. POST,POST-LでみられたLC3-II/I発現の増強は3MAの投与により消失した.また再灌流120分でPOST-L群でオートファゴゾーム形成が有意に認められ,3MAの投与でオートファゴゾームの形成は抑制された. SPCはオートファジーを誘導し,ISを減少させた.この保護効果はオートファジー抑制剤3MAの投与によって消失した.SPCの心筋保護効果にはオートファジーの誘導が必要であることが示唆された.
|