現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形態別に分類した口腔ヒト扁平上皮癌細胞を用いて,増殖能,運動能および浸潤能を比較し,Zyxin発現との相関関係について検討するとともに,Rho family (Rho, Rac, CDC42)の発現をwestern blot法にて検討したところ,gradeが上昇するにつれて浸潤能および運動能が増加することが確認された,また,Rho family の発現量は.gradeが上昇するにつれて増加した.Zyxinの高発現が認められた細胞株に対してはsiRNAによるZyxinのノックアウトを行い,細胞増殖能, 運動能, 浸潤能をそれぞれcell count, scrach assay, invasion assayにて検討した結果,si-Zyxinはコントロールと比較すると,形態が紡錘形から多角形様に変化し,増殖能,運動能および浸潤能が抑制されることが確認された.さらには,si-Zyxinはコントロールと比較すると,ウェスタンブロットにてRac1およびCdc42の発現が抑制されることが確認された.一方で,apoptosisおよびcell cycleに変化は認められなかった.Zyxin低発現である細胞株にZyxinの遺伝子を連続的に導入したベクターをコンストラクションし,プラスミドによって遺伝子導入を行い,得られた細胞を使用して,Zyxinの発現量,細胞機能および形態的解析についてコントロールと比較検討した結果,細胞の形態に変化は認められず,増殖能,運動能および浸潤能は,Zyxin導入細胞は非導入細胞と比較すると抑制されることが確認された.以上のことから,研究の目的である口腔ヒト扁平上皮癌細胞におけるZyxinの発現および機能との関連性についての検討はおおむね順調に進展していると考えられる.
|