研究課題/領域番号 |
23792408
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八幡 薫子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (50585312)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アメロジェニン |
研究概要 |
本研究は、エナメル質の主要なタンパク質であるアメロジェニンが、間葉系細胞の分化にどのような影響を与えるかを解析することによって、アメロジェニンタンパクの細胞間のシグナル伝達物質としての役割を解明し、アメロジェニンの2つの主要なアイソフォームであるM180、LRAPの機能の違いを検証することを目的としている。 23年度は、アメロジェニンタンパクを回収することを目的として、アメロジェニンタンパクの発現ベクターを哺乳類細胞であるFree Style293細胞にトランスフェクションし、得られた培地上にアメロジェニンタンパクが発現していることをWestern blotteing法にて確認した。その後、培地を濃縮して、さらに精製を試みたが、タンパク精製はうまくいくことができなかった。 次に、MC3T3-E1、ATDC5、C2C12細胞をアメロジェニンを添加して培養し、アメロジェニン存在下での分化を観察した。アメロジェニンタンパクは、濃縮培地のまま使用し、M180、LRAP、controlの3つに分けて添加した。培養後、MC3T3-E1細胞は10日目、20日目にALP染色とAlizarin red染色を、ATDC5細胞は14日目、21日目、28日目にALP染色とAlcian blue染色を、C2C12細胞は3日目、5日目、9日目、12日目でOil red染色を行い、分化の違いを確認したが、日数によってはcontrolとの間に若干の差が見られたものの、M180とLRAPの間には明確な差は肉眼では確認することができなかった。ATDC5細胞に関しては、さらに分化段階を評価する日数を増やして、染色に加えて骨や軟骨への分化段階に応じて発現するとされる指標遺伝子の発現レベルをQ-PCR法によって確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の遂行がやや遅れている理由としては、アメロジェニンタンパクの発現、回収に手間取ったことがあげられる。タンパク発現ベクターをトランスフェクションし、得られた培地をWestern blotting法にて確認すると、必ず予測されたバンドの位置の少し上方にもう一本のバンドが現れ、何度やってもこのバンドを消すことが出来なかった。考察としては、タンパクが糖鎖修飾を受けたのであろうということで実験を次に進めることとしたが、つぎにタンパクの精製がうまくいかず、これはまだ課題として残っている。今回使用したベクターには、MycとHisの2つのタグがついているため、これらのタグを利用してMycビーズやHisビーズで精製を試みたが、うまくいかず、結局濃縮培地をそのまま使用することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、前年度から残っている課題であるタンパク精製について他の方法を考えて再度試みてみる一方で、タンパクを濃縮培地のまま使用して、研究をさらに進めていく予定である。 今後、3つの細胞それぞれにおいて、さらに日数を増やして解析し、染色やQ-PCR法にて指標遺伝子の発現レベルを確認する。それを統計学的に考察し、有意差の検証を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、細胞の培養に関する培地やdishの他、Q-PCRに使用するプライマー等の試薬に主に使用される。
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