骨細胞はメカニカルストレス負荷に対し鋭敏に応答し、骨リモデリングを調整すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。本研究では結合組織成長因子(Connective Tissue Growth Factor; CTGF)およびアポトーシスに着目し、特に圧縮力負荷時の骨細胞の応答を検討した。 本年度の検討ではまずはじめに、アポトーシスの誘導とCTGFの関連を検討することとした。リコンビナントCTGF(rCTGF)処理をした骨細胞においてTUNEL染色陽性細胞の割合とカスパーゼ3活性が上昇した。また、CTGF中和抗体処理下で圧縮力負荷を行った骨細胞では、アポトーシスの誘導が抑制された。以上より、圧縮力負荷により産生が増強されたCTGFがアポトーシスを誘導する可能性が示唆された。 さらに本研究では、CTGFがアポトーシスを誘導する経路を検討した。Kawakiら(Bone. 2011)は初代培養骨芽細胞に対しrCTGF処理を行ったところ、ERK1/2およびp38 MAPKが活性化することを報告した。これに基づき、本研究ではERK1/2とp38 MAPKに着目し、圧縮力負荷時の骨細胞においてCTGFがアポトーシスを誘導する経路を検討した。圧縮力負荷を行った骨細胞でERK1/2が活性化した。また、ERK1/2とp38 MAPKそれぞれの阻害剤処理下で圧縮力負荷を行ったところ、ERK1/2阻害剤処理群においてアポトーシスの誘導が抑制された。さらに、rCTGF処理を行った骨細胞においてERK1/2が活性化した。また、CTGF中和抗体処理下で圧縮力負荷を行った骨細胞においてERK1/2の活性化が抑制された。以上より、圧縮力負荷に伴い産生が増強されたCTGFは、ERK1/2経路を活性化させ、アポトーシスを誘導することがわかった。
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