Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスの機械的性質と同金属ガラス上での骨髄間葉細胞の骨分化能について、現在金属系生体材料として使用されているチタンのうち2種純チタンと比較、検討した。その結果Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスは高強度、低弾性率、高耐食性であることが明らかとなり生体材料として有用であることが示唆された。また、Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上の骨髄間葉細胞における骨分化能の解析ではアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の上昇が示され、この結果は2種純チタンとの比較において同程度であった。また、骨分化マーカーであるRunx2、ALP、オステオカルシン(OCN)のmRNAの発現において2種純チタンと同等に上昇することが示された。さらにZr70Ni16Cu6Al8金属ガラス上にヒト歯根未完成歯歯髄細胞を播種して骨分化能を解析したところ、ALP活性値が上昇し、アリザリンレッド染色の染色性が示された。これらの結果からZr70Ni16Cu6Al8金属ガラスが新たな生体材料に必要とされる機械的強度と低ヤング率を有し、細胞への毒性が低く細胞親和性を有することが示され、骨再生への新たな生体材料となる可能性が示唆された。さらに、Zr70Ni16Cu6Al8金属ガラスは骨髄間葉細胞だけではなく種々の幹細胞との複合体を構築し得る材料であることが示唆された。
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