研究実績の概要 |
本研究は、Streptococcus mutans の病原性の指標として、従来から調べられていたグルコシルトランスフェラーゼ(gtf)ではなく、バイオフィルムの質を評価するために、バイオフィルム形成能やバイオフィルムの構造に着目し、S. mutansの母子感染との関連について研究を行うことを目的としている。具体的には、DNAマイクロアレイを用いて我々が現在までに解析してきたS. mutans のバイオフィルム調節やQuorum Sensing System(微生物間情報伝達細胞密度依存的遺伝子発現制御系)に関わる遺伝子が母子間の伝播にどのように影響を及ばしているのかについて研究を行っている。 本年度の目的は、既に我々がDNAマイクロアレイを用いて解析したS. mutans のバイオフィルム調節に関わる遺伝子の74のうち、SMU832 (hypothetical protein), SMU833 (putative glycosyltransferase) については欠損株を作製し、栄養状態の異なる培地におけるPhenotypeを検討した。Glucoseが添加されたTSB without dextrose 培地において、SMU832やSMU833の欠損株のバイオフィルム形成には、Extracellular DNAが関与していることがわかったが、初期のバイオフィルム形成において、Lysozymeも関与している傾向が認められた。
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