研究課題/領域番号 |
23792422
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
武居 真希 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (50547445)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 顎関節形成不全 / 成長期 / 液状飼料飼育 / 非生理的負荷 / マイクロCT |
研究概要 |
【実験1】3週齢Wistar系雄性ラットを用い、6週間液状飼料にて飼育する群を実験群、通常の固形飼料で飼育する群を対象群とした。9週齢にて、4%paraformaldehydeにて灌流固定を行い、頭部を一晩同液にて浸漬固定し、マイクロCT(SMX-90CT、SHIMADZU)撮影後、分析ソフト(TRI/3D-BON、RATOC)による下顎頭の3次元的な形態評価および下顎頭軟骨下骨の3次元的骨梁構造評価を、下顎頭の前方部、中央部、後方部の3部位において行った。【実験1の結果】対照群と比較して、実験群の3部位全てにおいて、骨量が有意に少なく、骨梁間距離が有意に大きいことが示された。また、実験群の下顎頭前方部において対照群と比較して骨梁の方向性が異なることが観察された。以上より、成長期における液状飼料飼育が顎関節の形成不全をもたらすことが明らかとなったため、本研究に用いる顎関節形成不全モデルが再現性の高い妥当な動物実験モデルであると評価された。【実験2】3週齢Wistar系雄性ラットを用い、6週間液状飼料にて飼育する群と通常の固形飼料で飼育する群との2群に分け、さらにそれらを9週齢の時点で非生理的負荷として最大開口刺激3時間を5日間加える群と無処置の群とに分け、計4群(対照群、顎関節形成不全群、非生理的負荷付与群、顎関節形成不全+非生理的負荷付与群)を作製した。実験1と同様の評価を行った。【実験2の結果】現在解析中であるが、対照群と比較して、他の3群の3部位全てにおける骨量が少なく、さらに顎関節形成不全+非生理的負荷付与群の骨量が最も少ないという傾向が把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画では、3週間液状飼料で飼育した後に固形飼料で3週間飼育する顎関節形成不全改善モデルを作製する予定であったが、対照群と顎関節形成不全群との2群のみの実験を行った。これは、マイクロCTによる評価を当初の計画の1部位ではなく3部位に増やしたため、撮影条件、計測部位などの規定が複雑になると予想され、評価方法が決定した後に作製することが妥当であると判断したからである。また、組織学的検討(Toluidine blue染色による下顎頭軟骨の形態および厚径変化の観察)に関しては、現在染色、観察中であり、画像解析、統計学的評価を今後行っていく必要がある。しかしながら、平成24年度の研究計画とやや重複する内容の実験を行っているため、現在の進行状況としてはおおむね良好であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に完遂できなかった組織学的検討(Toluidine blue染色による下顎頭軟骨の形態および厚径変化の観察)を行う予定である。さらに実験群として顎関節形成不全改善群を加え、顎関節形成不全改善モデルの妥当性の評価を加える。前年度および今年度で確立した実験モデル(顎関節形成不全モデル顎関節形成不全改善モデル)を用いて、9週齢にて非生理的負荷として最大開口刺激3時間を5日間加える。対照群、非生理的負荷付与群、顎関節形成不全+非生理的負荷付与群、顎関節形成不全改善+非生理的負荷付与群、以上の4群を作製し、矢状断パラフィン切片を作製し、カテプシンKおよびMMP-13の免疫組織化学染色を行い、関節軟骨および下顎頭軟骨下骨破壊の観察を行う。また、抗カテプシンK抗体による免疫組織化学染色と酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色との二重染色を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、これまでの形態というマクロな評価から、組織学的検討によるメカニズムの解明といったミクロな評価へと移行する重要な過程であり、当初予定していたカテプシンK、MMP-13だけでなく他の因子にも着目する必要が生じる可能性が考えられる。今年度の課題として、それらの免疫組織化学的染色における染色条件の決定が挙げられる。そのため、実験動物、2次抗体、染色の際に使用する試薬、備品、解析したデータや組織像の保存用HDDの購入に研究費を使用する予定である。また、今年度はこれまでの成果の学会発表、論文投稿を予定しているため、印刷費、投稿料などにも研究費を充てる予定である。
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