研究課題/領域番号 |
23792423
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原田 史子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 研究員 (00397150)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯学 / 神経科学 |
研究概要 |
メントール感受性受容体であるTransient receptor potential melastatin 8 (TRPM8)は温度受容体遺伝子として同定された、TRPスーパーファミリーに属するCa2+透過性の非選択性陽イオンチャネルである。一方、歯根膜は機械受容性ルフィニ神経終末に加え、豊富な侵害受容器が存在することが知られているが、歯根膜神経におけるTRPM8の存否、局在、存在意義については全く不明である。そこで、本研究の目的は、歯根膜神経においてTRPM8の発現を遺伝子およびタンパクレベルで検索し、歯の移動時の痛みの発現機序について明らかにすることである。比較実験として、下歯槽神経切断実験モデルを用いることとした。平成23年度の研究実施計画に従い、以下の研究を進めた。実験動物として成熟Wistar系ラットを用いた。ラットは灌流固定後、顎骨および三叉神経節を取り出し、顎骨はEDTAにより脱灰を行い、凍結切片を作成した。正常動物におけるTRMP8の発現の検討を行った。(1) 下歯槽神経の非切断群 (対照群)歯根膜におけるTRPM8免疫局在の検索を行った。局在部位と他タンパクとの共存関係を明らかにするため、TRPM8の免疫染色を行った。(2)三叉神経節におけるTRMP8の発現の検討:TRPM8免疫陽性細胞の表面積を同定し、size distributionパターンを求めるため、TRPM8の免疫染色を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に従い、実験動物、生後8週以降のWistar系ラットを灌流固定後、顎骨および三叉神経節を取り出した。顎骨をEDTAにより脱灰後、下顎切歯および三叉神経節の凍結切片を作成した。正常ラット(非実験群)の歯根膜および三叉神経節におけるTRPM8の発現および局在について、免疫組織化学的に検索を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究推進計画として、歯の移動実験に向けた下歯槽神経傷害モデルを用いた予備実験を行う。(1) 下歯槽神経傷害による三叉神経節における TRPM8陽性反応の局在の検討を行う。申請者が過去に報告した下歯槽神経切断実験モデルを用いて、三叉神経節における TRPM8陽性反応の局在の変化を明らかにする。同様に下歯槽神経を結紮したモデルも作成する。これら2種の実験モデルを比較することにより神経傷害の程度とTRPM8陽性反応の局在および細胞径の変化を明らかにする。(2)下歯槽神経傷害による三叉神経節におけるTRPM8 mRNA、タンパク発現量の検討:(1)の実験モデルから、三叉神経節を採取し、経日的なTRPM8 mRNA、タンパク発現量の変化を明らかにする。(3)神経傷害モデル歯根膜神経におけるTRPM8発現の変化の追求を行う。(1)のモデルを用いて、免疫細胞化学を用いて歯根膜神経におけるTRPM8の発現変化を明らかにする。(4) 国際学会での成果発表として、得られた研究成果を米国神経科学会にて発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な、実験動物、抗体、試薬等の消耗品の購入成果発表に必要な、論文投稿に関わる諸経費および消耗品の購入学会参加費および旅費への支出
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