研究課題
(2) 細胞増殖能に対するrh174添加の影響とCD63の関与の検討:HCEM、HPDLの免疫染色により、CD63 の発現分布を検討した。CD63が歯周組織に発現していることが示された。HCEM、HPDLにrh174添加した際の増殖能への影響について、ELISA BrdU assayを用いて解析した。また、CD63のブロッキング抗体存在下でrh174を添加した場合の増殖能の変化について同様の方法を用いて解析した。各培養細胞はrh174添加により、細胞増殖能の亢進を認めた。一方CD63ブロッキング抗体存在下では、細胞増殖能に影響を与えなかった。(3) rh174添加時の歯周組織構成細胞の増殖に対するシグナル伝達機構の解明:HCEM、HPDL におけるrh174受容後のシグナル経路の活性化について、ELISA キット、 定量Western blot解析を行った。HCEMおよびHPDLにおいて、rh174はCD63レセプターを介して、ERK1/2をリン酸化させることで細胞増殖に影響を与えることが示された。(4) 細胞の基質代謝能に対するrh174添加の影響:HCEM、HPDLの基質代謝能の検討では、rh174添加時の骨代謝マーカーの発現レベルについて定量PCR解析および定量Western blot解析を行った。また、アルカリフォスファターゼ活性および培養液中のCaレベルを定量評価し、アリザリンレッド染色法を用いて石灰化度の検討を行った。その結果、rh174は、HCEMの石灰化を亢進することが明らかとなった。一方、HPDLにおいては石灰化に影響を与えなかった。 以上の結果より、rh174はヒト培養セメント芽細胞、ヒト歯根膜細胞の細胞増殖及び石灰化能に対して大きな影響を及ぼす事が明らかとなった。その作用機序としてはCD63レセプターを介したERK1/2の活性化が示された。 。
2: おおむね順調に進展している
研究は概ね順調である。rh174はヒトセメント芽細胞の増殖および石灰化に対して影響を与えていることが明らかになった。さらにその作用機序の一つとしてERK1/2が示された。当初の研究の予定通りに遂行されている。
今後はrh174がHPDL、HCEM両細胞の基質代謝能に与える影響について引き続きin vitroにおいて他の因子に対しても検討を行い、結果を確実なものとする。またその後当初予定していた動物実験を行う。
次年度の研究費は主に不足しているアメロゲニンの作製および動物実験に必要とされる実験器具の購入に当てる予定である。また初年度確認された結果を更に固めるためのin vitro実験(骨関連マーカーのPCRを用いた検討)の消耗品に当てる予定である。
すべて 2011
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Journal of Periodontology
巻: 82(11) ページ: 1632-8