研究概要 |
平成24年度では、平成23年度に引き続きブタ下顎頭由来培養軟骨細胞に対する機械的伸長刺激によるCOX-2の誘導および軟骨基質代謝に対するCOX-2選択的阻害剤(セレコキシブ)およびNSAIDs(インドメタシン、アンフェナックナトリウム)の影響について比較検討を行った。機械的伸張刺激により増加したMMP-1,3遺伝子発現はセレコキシブ添加により有意に抑制されることが明らかとなった。また、インドメタシンおよびアンフェナックナトリウム添加は、機械的伸長刺激によって増加したMMP-1,3遺伝子発現を有意に抑制することが示された。その一方、機械的伸長刺激によって減少したII型コラーゲンおよびアグリカンは、セレコキシブの添加により回復したが、インドメタシンおよびアンフェナックナトリウム添加により有意な変化は認められなかった。したがって、セレコキシブは機械的負荷による軟骨破壊を抑制するだけでなく、軟骨基質産生を亢進することが明らかとなった。さらに、in vivo実験系では、6週齢Wistar系雄性ラットを用い、一日一時間30mmの強制開口を20日間行い、TMJ-OAモデルを作製した。実験群では、10日間負荷を加えた後、セレコキシブ , インドメタシン、アンフェナックナトリウムを10日間1日2回経口投与し、非投与群および無処置群と比較検討を行なった。20日間の実験終了後、ラット頭部を摘出し、顎関節矢状面の組織切片を作製し、免疫組織化学染色を行ったところ、セレコキシブ、インドメタシン、アンフェナックナトリウム経口投与群では、COX-2およびMMP-1, 3の発現が減少していることが明らかになった。
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