研究課題
矯正的歯の移動時牽引側の骨形成に骨形成因子のOsteoactivin(OA)の関与の可能性があり、OAは細胞外ドメインのシェディングで活性化する。また圧迫側の骨吸収に骨形成抑制因子のAsporin(ASPN)やSOST/sclerostinの関与の可能性がある。ヒト歯根膜線維芽(hPDL)細胞に伸展力を加えOA発現と放出、また遠心力を加えASPNとSOST/sclerostin発現、放出を調べた。In vivoでラット臼歯に矯正力を与え、OA、ASPN、sclerostin分布を免疫染色で調べたところ、歯周組織の伸展側の骨芽細胞、PDL細胞でOA免疫陽性反応が、圧迫側のPDL細胞、破骨細胞でASPN免疫陽性反応を認めた。In vitroでhPDL細胞に伸展力(4%伸展率、5回/分)を24時間付与し、OA発現をReal-time PCR、ELISAで調べたところ、発現は変化せず放出量が増加した。シェディングに関与するADAM12、17発現をReal-time PCR、ウェスタンブロティング法で調べたところ、ADAM12、17発現が増加、ADAM阻害薬添加後OA放出量が減少した。またhPDL細胞に遠心力(40/90/135/160xg)を24時間付与し、ASPNとSOST/sclerostin発現をReal-time PCR、ELISA、免疫蛍光染色で調べたところ、至適矯正力90xg遠心力付与時ASPN発現が増加、40xg遠心力付与時SOST/sclerostin発現が増加。ASPN、sclerostinタンパク添加後、ヒト歯槽骨由来骨芽細胞の石灰化組織形成が阻害された。矯正的歯の移動時PDL細胞において、OAシェディングによる活性化が牽引側の骨形成に、至適圧迫力でASPN、弱い圧迫力でSOST/sclerostin発現、放出が圧迫側の骨形成抑制に関与することが示唆された。
すべて 2016
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Archives of Oral Biology.
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