近年の日本人児童は歯科領域において、軟食化の影響により、咀嚼能力の低下が指摘されている。これは、市販されている食材または家庭内で調理されている食事の軟食化など、日本人の食生活の変化が原因と指摘されており、その結果、下顎骨の成長不足や歯列狭窄による不正咬合が増加している。本講座において開発した咀嚼トレーニング用ガムでの咀嚼トレーニングが咀嚼に関する機能の向上、咀嚼運動の活性化を促し、その結果、歯列成長を促進することを報告してきた。しかしながら、近年日本人児童の成長発育期における咀嚼機能および咀嚼運動の基準値は発表されておらず、経年資料による疫学調査では、各調査における母集団の平均値を基準とした報告が散見される。そこで、本研究では小学校児童の形態的および機能的な経年資料を採得し、日本人児童の基準値を調査することを目的とする。 対象となる小学校児童の資料採取の前に、川崎市の幼稚園児童44名を対象に咀嚼機能、咀嚼運動の調査をおこなった。調査内容は顔面規格写真、咀嚼運動、口唇閉鎖力、舌挙上力、最大咬合力および咬合接触面積である。 小学校児童の資料採得は平成25年1月に第一階資料採得をスタートし、幼稚園児での資料採得内容に加えて、歯列印象を追加し280名(小学校1年および2年生)を対象におこなった。来年度は同じ被験者を対象に経年資料を採得していく予定である。
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