研究課題/領域番号 |
23792449
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
藤田 祥仁 日本大学, 歯学部, その他 (80547688)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯根吸収 / IL-17 / RANKL |
研究概要 |
【目的】矯正治療中の歯根吸収の発生原因は未だ解明されていない。第66回日本矯正歯科学会にて、当講座はラットにおいて、過度の矯正力によって生じた歯根吸収部位にinterleukin (IL)-17が発現したことを報告した。一方、III型アレルギーである関節リウマチにおいてIL-17が滑膜線維芽細胞のreceptor activator of nuclear factor κB ligand (RANKL)の発現を増強し、炎症性骨破壊をおこすことが報告されている。IL-17はTh17によって産生される。そこで、歯根吸収の発生においてもTh17が関与しているという仮説をたて、慢性関節リウマチモデルマウス(RAマウス)の実験的歯の移動を行い、歯根膜におけるTh17の存在を確認した。また、アレルギー患者と健常者の血液から分離したCD4陽性T細胞と歯根膜線維芽細胞(PDL)を共培養することでアレルギー患者の歯根吸収のリスクを検討した。【資料および方法】BALB/cAJcLマウス(wild type)とSKG/Jclマウス(RA)を用い、7日間10gの矯正力で第一臼歯を近心へ牽引し歯根吸収を惹起させた。実験終了後、薄切切片を作製し、CD4とIL-17抗体を用い多重免疫蛍光染色を行った。また、アレルギー患者と健常者の血液からCD4陽性T細胞を分離しPDLと共培養を行い、compression forceを付与しRANKL、IL-17、OPGの産生量と遺伝子発現を測定した。【結果および考察】移動7日目においてRAマウスの方が正常マウスに比べ、Th17が多く認められた。また、アレルギー患者のCD4陽性T細胞とPDLの共培養においてRANKL、IL-17の高い遺伝子発現を認めた。【結論】矯正学的歯の移動時の歯根吸収においてTh17の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度ではアレルギーマウスに矯正力(0~50g)を加え、人為的に歯根吸収を起こさせ、歯根周囲組織のIL-17, RANKL、RANK, OPG, TRAPのタンパク質・遺伝子発現について正常マウスと比較検討した。その結果、移動7日目においてRAマウスの方が正常マウスに比べ、Th17が多く認められた。また、アレルギー患者のCD4陽性T細胞とPDLの共培養においてRANKL、IL-17の高い遺伝子発現を認めた。以上のことから、予定通り、実験は遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はアレルギーマウスよりTh17細胞を採取し、IL-17産生量について検討する予定であるが、T細胞の培養系は本講座において、すでに確立しており、実験の遂行には全く支障がない。よって、予定通り、実験を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度はアレルギーマウスよりTh17細胞を採取し、IL-17産生量について検討する。さらに、IL-23を作用させ、RANKL産生量および骨吸収活性ついて検討を行う。また、矯正治療による重度歯根吸収者よりTリンパ球を採取し、活性化Tリンパ球より産生されるインターロイキン17(IL-17)について検討する。さらに、活性化Tリンパ球と歯根膜線維芽細胞にIL-17を作用させ、granulocyte macrophage colony stimulating factor (GM-CSF)、RANKLの産生量について検討する。採取した培養上清より骨吸収活性ついて検討を行う。
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