研究課題/領域番号 |
23792451
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
下村 淳子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00386286)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | PTH-R / 遺伝子変異 / マウス |
研究概要 |
本研究は、骨代謝調節因子である副甲状腺ホルモン(PTH)・副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の受容体(PTH-R)の恒常活性を示すJansen型変異PTH-Rによって誘導される分子病理、特に骨・軟骨における作用について、そのシグナリング経路と細胞分化異常をin vivoで解明することを目的としている。本年度は、野生型PTH-RおよびJansen型変異PTH-R(以下PTH-RH223R)遺伝子発現ベクターのC末にそれぞれFlagおよびHAタグを付けたものを、lipofection法にてHEK293T細胞に遺伝子導入し、各PTH-Rを強発現させた。その後、FlagおよびHAに特異的な抗体を用いた免疫染色、細胞から抽出した蛋白を用いたWestern blotおよび免疫沈降、さらにPTH-Rのligand であるhuman PTH(1-34)添加によるcAMP産生についてCre-lucベクターを用いたluciferase assayを行った。Western blotの結果から、野生型PTH-RとPTH-RH223Rでは糖鎖修飾に何らかの違いがあること、またPTH-Rがdimerを形成する性質をもつことが示唆され、この仮説はCo-immunoprecipitationの結果から証明された。さらにluciferase assayの結果、PTH-RH223RはPTH無添加の状態でも恒常活性を持っていたが、野生型PTH-Rと共発現させた場合、luciferase activityが有意に低下した。この結果も併せると、野生型PTH-RとPTH-RH223Rが相互作用していることが考えられた。以上の成果をふまえ、次年度以降はトランスジェニックマウスを作製し、in vivoにおいて解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成23年度における研究の達成度は、Jansen型PTH-R cDNAを組み込んだ発現ベクターを作製し、その機能をin vitroにおいて確認することであった。実際は、計画通りJansen型PTH-R遺伝子を組み込んだ発現ベクターの作製およびその機能解析まで実験を進めることができたため、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、以下のような研究推進方策に沿って研究を行う。1.初年度のin vitroでの研究成果をふまえ、既に作成済みであるtype II collagen promoter/enhancer cassetteにJansen型PTH-R遺伝子を組み込みvectorを構築し、軟骨細胞のprimary cultureにてその発現を確認する。2.採卵した受精卵にインジェクション(顕鏡注入)し、インジェクションした受精卵を仮親の卵管に移植し、産仔を得る。但し、この過程は専門技術を要するので、研究委託をする(予算として計上)。3.Founderマウスのジェノタイピングを胎生18日齢のFounderマウスの尾より抽出したゲノムを用いて、PCR法によりtransgeneが組み込まれたマウスのスクリーニングを行い、その後組織標本作製を行う。4.次年度以降、組織異常解析、遺伝子発現異常解析を行い、最終的には成果の発表を論文で行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、vector構築および発現の確認(20万円)、トランスジェニックマウスの作製(70万円;内訳としてマイクロインジェクションは研究委託として50万円、マウスはfounderが多数匹必要であることから20万円)、およびジェノタイピングからスクリーニング(30万円)および組織標本作製(10万円)に主に使用する予定である。
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