研究課題
本実験における研究目的は咀嚼器官と高次脳機能とのクロストークの科学的根拠の解明である。特に現代のストレス社会において関心の高いうつ病、認知症、PTSD(Post-traumatic stress disorder)といったストレス障害と口腔機能との関連を明確にするため、行動生理学・電気生理学的に咀嚼器官の活性化によるストレス軽減の現象をとらえ、その現象に対する口腔と高次脳とのネットワーク、メカニズムを検証し、全身の一器官としての口腔の重要性を示すとともに歯科の立場からストレス疾患に対する予防・治療に携われる可能性を立証することにある。目標達成の為に23年度は、1. PTSDモデルラットの作成と病態検討 2. PTSDモデルラットを用いた咀嚼器官の活性化によるストレス減弱効果の行動生理学的検討に取り組んだ。研究の成果として、PTSDモデルラットの確立およびELISAにて血中のコルチコステロンを測定しコントロールラットとの病態の違いを確認した。さらに、高架式十字迷路、オープンフィールドテスト、恐怖条件付けによるフリージング時間などの行動実験も施行し、ある程度のデータを確認することができた。24年度は、課題としていたPTSDモデルラットを用いた電気生理学的検討を計画通り開始し、海馬CA1領域のGR(glucocorticoid receptor) の免疫染色も同時並行で施行した。現在は23年度、24年度で収集した実験結果をまとめて、論文を作製しているところである。災害ストレスに大きく関わるPTSDに対して、口腔機能の改善がストレス軽減に有効であることが立証し、災害時の歯科医療体制のあり方を提言することは学術的社会貢献という観点から重要な報告である。
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