研究課題/領域番号 |
23792459
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
原田 京子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80434794)
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キーワード | 乳歯歯髄 |
研究概要 |
本研究では、結合組織の修復、再生、リモデリングに深く関与している線維芽細胞、特にその能力の高い乳歯歯髄由来線維芽細胞において、炎症部位の組織破壊をもたらす種々のサイトカインやMMP、そして線維芽細胞より産生され抗炎症作用を持つアデノシンが、どのように関連しているかについて解明し、歯髄炎に対する治療指針の可能性の範囲を拡大させるとともに、幹細胞として有用である歯髄細胞の保存に向けて再生医療への路を拓くことを目的とし研究を行った。 初年度は、LPSおよびアデノシンを乳歯歯髄由来線維芽細胞に単独処置した後、まず増殖率および生存率に対する影響について検討を行い、その結果、LPSおよびアデノシンが最も乳歯歯髄細胞に影響を及ぼす濃度について明らかにした。 次にLPSおよびアデノシンによって特異的に産生量が変動するサイトカインおよびメタルプロテアーゼの検討を行い、MMP2産生能に有意な変化がみられることを明らかにした。 次年度はLPSおよびアデノシン単独処置によって変化のあったMMP2産生について、そのメカニズムの解析をウエスタンブロッティング等により検討した。LPSおよびアデノシン刺激によるMMP2産生が、PI3-K阻害剤であるLY294002により抑制されたことより、MMP-2産生はPI3-Kを介していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者から採取した歯髄細胞については安定した結果が得られており、培養条件でのトラブルはほとんどみられなかった。また平成24年度に予定していたゲルシフトアッセイ、ヌクレアランオンアッセイについての研究が順調に進んでおり、当初の仮説に沿った結果が得られたことより、おおむね順調に進んでいると考えられる。しかしながら、研究成果報告において、平成24年度内に予定していた国際学会での発表が未完了であり、H25年9月のIADRにて発表を予定しているため、本研究は研究成果を発信する点においてやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、結合組織の修復、再生、リモデリングに深く関与している線維芽細胞、特にその能力の高い乳歯歯髄由来線維芽細胞において、炎症部位の組織破壊をもたらす種々のサイトカインやMMP、そして線維芽細胞より産生され抗炎症作用を持つアデノシンが、どのように関連しているかについて解明することができた。よって今後は幹細胞として有用である乳歯歯髄由来線維芽細胞を炎症から守り、より健全な状態で維持、保存する条件を検討し、歯髄を用いた再生医療の臨床応用に向けて貢献できるよう研究を推進していく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に、二次元電気泳動法を用いてシグナル応答性を示すタンパク分析を行い、その結果を基にシグナル解析を行い、シンポジウムにおいて発表する予定であったが、タンパク分析の結果が不安定なものであったため、計画を変更しin vitro翻訳解析 を行うこととした。このため、in vitro 翻訳解析と国際シンポジウムでの発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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