研究課題/領域番号 |
23792465
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋月 達也 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50401378)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 |
研究概要 |
平成23年度では、研究の目的となる歯周組織再生の生家を得るために、まず、担体を使用した実験を行った。当初使用しようと思っていた担体よりも骨欠損を充填しかつ細胞を培養するのに良好と考えられる担体を使用する機会を得たため、その担体を使用した歯周組織再生に関する実験を行った。ビーグル犬6頭を用いて、上顎犬歯に3壁性の歯周組織欠損、下顎犬歯に1壁性の歯周組織欠損を作製して、実験側にはランダムトンネル型b-Tricalcium phosphate(TCP)を、対照側はそのままで欠損をフラップで閉じ、縫合した。結果として、実験側では、担体が12週間維持されていることがわかり、生体為害性もなく、トンネル状の構造をした担体の内部にも歯槽骨が形成され、より多くの歯槽骨の再生が認められた。歯根膜シートを用いた最近の研究では、人の実際の歯周組織欠損に応用することを前提として実験が行われており、その際には、平面的な歯根膜シートをどのように歯根表面に維持しておくかということが問題となる。これまでの研究では、顆粒状の移植材を使用していたが、それでは、欠損から流れ出てしまうことがあった。今回用いた移植材は、管腔構造をなしたブロック状のものであり、内部に細胞を培養して移植したり、成長因子を含ませて移植することができるうえ、移植した部位にとどめておくことができると考えられる。今後、歯根膜細胞シートを使用した実験を行う上で、一緒に用いる担体の基礎的なデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、担体を用いた研究までは成功しており、今後の歯根膜シートを用いた実験の基礎はできたと考えている。担体に関しては、当初用いようと思っていた担体の入手が難しくなったため、異なる担体での移植を行うこととした。今回用いることができた担体は、それ自身でも、歯周組織欠損の再生のうち、歯槽骨の再生に関しては大きな役割を果たすことができるものである。平成24年度は、この担体に加えて、歯根膜シートを用いることで、歯根膜、セメント質を含めた歯周組織の再生を誘導するような歯周組織再生法の開発に期待が高まる。現在、in vitroでイヌより採取した歯根膜由来細胞の培養中である。石灰化誘導をかけた状態で歯根膜シートを作成し、イヌに自家で移植する実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度に得られた知見を活用して、担体に加えて、石灰化歯根膜シートを用いた歯周組織の再生をイヌを用いて実験する予定である。実験に関しては、大学院生3名を実験の補助として、動物実験を中心に行っていく。今回、使用予定であった担体の入手が難しくなったため、担体の変更を余儀なくされたが、新しく使用することとなった担体は使用予定のものと比較して、歯槽骨の再生に関しては良いものである可能性が高い。歯根膜シートは、歯槽骨以外の歯根膜、セメント質の再生に関与することを考えると、今回の担体の使用はより効果的であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、追加で必要な実験動物を購入し、動物実験を行っていく。また、平成23年度に得られた結果に関して成果発表を日本歯科保存学会春季学術大会、アメリカ歯周病学会などで発表する予定である。また、細胞培養などに必要な薬品、試薬に関しても購入する予定である。
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