研究課題
本研究では、歯周組織の再生を起こすための新規治療法の開発を目的として研究を行った。実験計画では、歯根膜由来細胞を用いて歯周組織の再生を起こすよう計画し、実際に、コラーゲンスポンジ、βリン酸三カルシウムを担体として移植し観察したが、エックス線写真上ですでに歯根膜腔が大きく空いた所見が得られ、結果は芳しくなかった。しかしながら、より良い担体を検索すべく行った研究において、これまで使用されてきた担体とは大きく異なる担体の開発ができた。本担体は、歯槽骨の形成を促すとされるβリン酸三カルシウムよりなる担体であるが、一般的に使用されている顆粒状ではなく、ブロック状の担体である。ブロック状の担体のデメリットは、ブロックの中に血管が入り込めず、歯槽骨の再生が少ないことであったが、この担体は、血管の形成を促すとされる口径300μmの穴が空いたチューブ状の構造物がいくつも組み合わさったものであり、血管の形成に伴い、歯槽骨の形成が起こることが期待された。実際に、イヌ下顎歯周組織欠損に対し、本担体を用いたところ、チューブ内部に良好な骨の再生が起こり、また歯根には、セメント質の形成を伴う歯周組織の再生が認められた。また、歯根膜細胞を用いて、bFGFを併用してイヌ根分岐部欠損に移植を行ったところ、歯槽骨の形成に関して有効であることを確認した。本結果に関しては、日本歯周病学会学術大会にて発表を行った。
すべて その他
すべて 学会発表 (3件)