研究課題
歯周病は様々な全身疾患のリスクファクターであり、なかでも糖尿病とは相互に影響することが明らかになってきている。糖尿病では、高血糖状態によって様々な合併症が引き起こされるが、なかでも、網膜症は3大合併症のひとつとしてとらえられている。緑内障は日本人の失明原因の第一位となっており、眼圧の上昇が高頻度で観察されるが、この原因としては未だ不明な点も多い。しかしながら、近年、緑内障の発症・進展を調査した大規模な前向き介入コホート研究では、抗cardiolopin抗体が緑内障の発症・進展のリスクファクターとなることが明らかになっている。これまでの研究で、歯周炎患者では健常者と比較してβ2GPI依存性抗cardiolipin抗体が上昇していること、またβ2GPI上のTLRVYKペプチドを認識するモノクローナル抗体をマウスに注射すると抗cardiolopin抗体と同様の働きを示すことが報告されている。A.actinomycetencomitansのleucotoxin Cは、β2GPI上のTLRVYKペプチドと相同性が高いペプチド配列(SIRVYKペプチド)を有しており、私たちは、SIRVYKペプチド配列に対する抗体がTLRVYKペプチドと交差反応を引き起こす可能性があることを報告した(Arch Gynecol Obstet 2013)。また、東京医科歯科大学医学部附属病院に通院中の糖尿病患者において、血清中のTLRVYKペプチドとSIRVYKペプチドが有意な相関を示した。以上の結果より、糖尿病患者における緑内障の発症に、歯周病由来の抗体が関与している可能性が示唆された。
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Journal of Diabetes Investigation
巻: 4 ページ: 320-325
10.1111/jdi.12026
Archives of Gynecology and Obstetrics
巻: in press ページ: in press
10.1007/s00404-013-2741-z