研究課題/領域番号 |
23792481
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉永 泰周 長崎大学, 大学病院, 医員 (60452869)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯周炎モデル / 歯周ポケット / 免疫複合体 / C5a / LPS / MMPs / Desmoglein / Claudin |
研究概要 |
歯周炎の発症や進行において歯周ポケット形成は最も重要な役割を担っているが、そのメカニズムについては不明のままである。、我々はアタッチメントロスに免疫複合体および好中球の浸潤が重要な役割を担っているという所見を得ている。補体成分であるC5aは免疫複合体の形成により誘導され、好中球の強力な走化性因子であり歯周病との関連についても示唆されている。そこでC5aを中心とした免疫系の活性化が、どのように接合上皮細胞間接着分子の破壊に関与しているかを検討し、歯周ポケット形成のメカニズムの一端を解明することを目的に研究計画を立て、本年度は以下のような研究を行った。 抗LPS抗体および高濃度LPSをラット歯肉溝内へ投与することにより歯周ポケット形成を示すラット歯周炎モデルの組織標本を作製するために、LPS腹腔内投与により免疫感作した感作ラットより血清を採取し、抗LPS抗体を精製した。さらにその抗体と高濃度LPSをラット上顎口蓋側歯肉溝内へ交互に10日間滴下後、上顎骨を摘出し組織標本を作製した。HE染色を行った組織切片をimage analysis softwareにて評価し、接合上皮周辺への炎症性細胞の浸潤の増加や接合上皮の根尖側移動およびアタッチメントロスが生じることを確認した。現在は抗C5a抗体や抗MMPs抗体を用いた免疫染色を行い、歯周ポケット形成時の各因子の発現状況について評価しているところである。 さらに来年度ヒト好中球およびヒト上皮細胞を用いたin vitroの研究により、C5a刺激とMMPs発現の関係および上皮細胞のアポトーシスへの関与について調べるためにヒト好中球および上皮細胞の分離について準備を行なっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたラット歯周炎モデルの組織票作製が順調に終了している。今後は各種抗体による免疫染色を行う予定である。また来年度予定していたヒト好中球とヒト上皮細胞の準備に入っており、総合すると概ね順調に研究が進展していると考えれるから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は使用を予定している各種抗体を購入し、本年度作製した組織標本を用いて早期に免疫染色を行う。またヒト好中球と上皮細胞の培養を確立し、早期にin vitroの研究を進めていく。もし両細胞の培養の確立に時間を要する場合は、セルラインを購入して実験を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度購入予定であった免疫染色用の抗体を購入していないため、予定額よりも使用額が下回った。来年度はその抗体を購入し予定している免疫染色等を行い実験を進めていく。さらに本年度準備を進めているヒト好中球や人上皮細胞を用いたin vitroの研究を行うために、ヒトC5aなどの試薬を購入し実験をすすめる。さらに研究の進行状況によっては、セルラインを購入し実験を進めていく。
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