研究課題/領域番号 |
23792483
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
長谷川 梢 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00404492)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 歯周病 / 早産 / 低体重児出産 / 歯周病原細菌 / 子宮内感染 |
研究概要 |
本研究は、子宮内に存在する歯周病原細菌と子宮内感染や産科的臨床状態との関連、歯周病原細菌の混合感染が子宮内組織や出産に与える影響を、臨床研究とin vivo研究により分析することで、歯周病原細菌が子宮内感染症に与える影響を、そのメカニズムを含めて解明することを目的としたものである。本年度は子宮内に存在する歯周病原細菌と子宮内感染や産科的臨床状態との関連ついての臨床研究を行った。 子宮内に存在する歯周病原細菌と子宮内感染や産科的臨床状態との解明のため、鹿児島市立病院産科、もしくは鹿児島大学病院産婦人科に入院中のハイリスク妊婦24名と鹿児島市 愛育病院に入院中の正常出産妊婦15名に、妊娠中期に歯周組織検査と行うと同時に、唾液、歯肉縁下プラーク、末梢血液の採取を実施した。さらに、出産時に、卵膜の採取を行い、出産後に妊娠・出産状況の調査を行った。その後、歯周組織検査結果と出産状況の分析を行ったところ、ハイリスク妊娠妊婦は正常出産妊婦と比較し、有意に検査結果が悪かったため、歯周病とハイリスク妊娠とが関連することが明らかになった。さらに、採取したサンプルについて、歯周病原細菌の分析を、Real-Time PCRとRT-PCRを用いて行った。その結果、歯周病原細菌のうちPorphyromonas gingivalis とFusobacterium nucleatumがハイリスク妊婦の卵膜にのみ検出され、細菌学的にも歯周病原細菌が早産に影響している可能性が示唆された。そこで、卵膜における歯周病原細菌の局在を分析するために、免疫組織学的解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究に関しては、目標人数の約8割に達しており順調に進んでいるが、動物実験を行うまでには至っておらず、到達度としてはやや遅れていると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在行っている臨床データと臨床サンプルの採取を今後も継続し(目標50名のため、11名追加予定)、H23年度に引き続き、歯周組織検査結果の分析、歯周病原細菌の検出と局在の分析を行い、子宮内感染症の原因としての歯周病原細菌の可能性とその影響を解明する。 歯周病原細菌を単独、あるいは混合経口感染させた歯周炎動物モデルを妊娠させ、歯周病原細菌が出産に与える影響とそのメカニズムを細菌学的、生理学的、組織学的手法を用いて解析する。さらには、TLR-2,TLR-4欠損動物モデルに歯周病原細菌の単独、あるいは混合経口感染させ、出産に与える影響を比較することで、TLR-2/4関与の解析を行う。 子宮内感染症の原因としての歯周病原細菌の可能性とその影響を臨床的、実験的に解明し、得られた結果を国内外の学会と論文にて成果の発表を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
臨床研究とin vivo研究に使用する消耗品(実験動物、薬品類、抗体・試薬、プラスチック器具)に加え、組織切片作成分析委託費、TLR-2,TLR-4欠損モデル作成委託費として研究費を使用する。 また、研究成果の発表を、第55回春季日本歯周病学会学術大会 (北海道、2012/5/17-2012/5/19)、 Europerio 7(ウィーン、オーストリア、2012/6/5-2012/6/11)にて行うための学会参加費と出張旅費、論文発表のための費用(英文校正費、掲載費等)として、研究費を使用する。
|