研究実績の概要 |
本研究は、子宮内に存在する歯周病原細菌と子宮内膜感染や臨床的産科状態の関連性を、メカニズムと共に解明することを目的としたものであり、子宮内に存在する歯周病原細菌と子宮内感染や産科的臨床状態との関連、歯周病原細菌の混合感染が子宮内組織や出産に与える影響を臨床研究と、in vitro, in vivo研究により解明することを目的としている。 本年度の臨床研究により、歯周病や歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisとFusobacterium nucleatumが出産に影響している可能性を明らかにした。 今年度の、in vivo研究では、BALB/cマウスを妊娠させ、妊娠前期である妊娠8-10日目の3回、あるいは妊娠後期である妊娠13-15日目に1回から3回、Porphyromonas gingivalisを107CFU 0.1mL日静脈から投与し、出産に与える影響を検討した。その結果、妊娠前期、妊娠後期いずれも3日間連続投与によって、胎盤、卵膜からPorphyromonas gingivalisがPCR法にて検出され、胎児の体重もコントロール(PBS投与)と比べ小さい傾向にあった。さらに、妊娠初期のPorphyromonas gingivalis感染は、コントロール、と比較して、胎盤ではTLR-2, 卵膜ではTLR-2,4の遺伝子発現が有意に高かった。 また、これらのことにより、Porphyromonas gingivalisが、胎盤や卵膜に感染を引き起こし出産に影響することが示唆され、その影響は妊娠初期の方が大きい可能性が示唆された。
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