研究概要 |
歯周疾患は歯周組織の破壊を起こした結果、歯の脱落を引き起こす。これにより咀嚼障害および審美障害を引き起こし、QOLの低下を招く。このような歯周疾患に日本国民の8割が罹患しており、歯周組織再生療法のニーズは非常に高い。しかしながら、歯周組織は硬組織と軟組織が混在した複雑な組織であり、新世代の歯周組織の再生療法の開発には難航を示している。歯周組織の再生には、歯肉→歯肉線維芽細胞, 歯槽骨→骨芽細胞, セメント質→セメント芽細胞, 歯根膜→ 歯根膜細胞が必要である。そして、これらの細胞の供給には歯根膜由来の未分化間葉系の細胞が必要である。したがって、すべてのソース源となる歯根膜の再生こそが歯周組織再生において必要不可欠であるといえる。 歯根膜組織に存在するペリオスチンは、4種類のアイソフォームを有し、骨, 骨格筋, 心臓, 歯周組織などに存在する細胞外マトリックスである。歯周組織においては、発生や分化, 再生, 創傷治癒に深く関与していることが知られている。近年では、機能障害を起こした組織の再生を促進する事が報告されている。そこで本研究では、ペリオスチンを歯周組織再生療法に応用する事を目的として、ペリオスチンの各種アイソフォームが歯周組織に及ぼす影響を検討する。ペリオスチンを用いて、歯周組織の発生・分化および創傷治癒を模倣した新たな歯周組織再生療法の開発を行う。歯周組織の構成成分であるペリオスチンを用いることにより、副作用がない安全な治療が期待できる。
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