研究課題/領域番号 |
23792494
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
阿部 佳織 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 産総研特別研究員 (60511326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯周病 / マイクロチップ / 炎症性サイトカイン / 診断 |
研究概要 |
歯周病患者で血中濃度が上がると報告されている炎症性サイトカインのIL-6とTNF-αの測定をマイクロチップ基板上で行った。検出原理は96穴ELISA法と同じであり、本年度は迅速(抗原抗体反応:35分)で高感度(検出感度:2 pg/ml)な検出を行うために以下の4項目について検討を行った。1.マイクロ流路に吐出する一次抗体濃度および吐出パターン:一次抗体濃度は、高濃度なものを用いるほど検出感度が上がり、96穴ELISA法の125~500倍濃度のものを用いた場合、 抗原抗体反応時間35分で2 pg/mlを検出することが可能となった。また、一次抗体の吐出面積が広いほど、抗原抗体反応によるシグナルも大きくなることが分かり、従来の吐出 面積の3倍を吐出することにより、高感度な検出が可能となった。2.ブロッキング条件の検討:BSAや市販のブロッキング液4種類を比較した結果、DSファーマ社のブロックエースが流路への非特異的吸着を最も抑制できることが分かった。また、ブロッキング時間については室温で1時間行った場合と4℃でオーバーナイトで行った場合を比較して大きな差は見られなかった。3.抗原抗体反応温度の検討:室温、37℃、50℃で比較した結果、37℃と50℃では流路への非特異的吸着が大きくなり、抗原特異的な発光シグナルを検出できなくなったが、室温では流路への非特異的な吸着は少なく、抗原特異的な発光シグナルの検出が可能であった。4.既存法(96穴ELISA法)と本法(マイクロチップ法)の相関の確認:健常者の血漿を用いて、既存法と本法での測定値を比較し、良い相関を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
候補となる抗体の組み合わせをあらかじめ予備実験により検討を済ませていたため、抗体の検索に費やす時間を削減することができ、順調に反応時間の短縮の実験にとりかかることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、IL-6とTNF-αを別々のマイクロ流路内で検出できる系を確立できたので、今後は、さらに抗体濃度やブロッキング条件などを詳細に検討し、1本のマイクロ流路内でIL-6とTNF-αを同時に検出できる系を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗体が特注品となり、納品に少し時間がかかったため、マイクロチップ基板を用いた実験が十分に行えなかった。そのため、次年度は十分な量のマイクロチップ基板と抗体を購入する予定である。
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