研究課題/領域番号 |
23792497
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村上 任尚 東北大学, 大学病院, 医員 (70451606)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 歯学 / 衛生 / 前向きコホート / 動脈硬化 |
研究概要 |
本研究は、疫学の観点から脳心血管疾患の発症基盤である動脈硬化のリスクファクター(高血圧、糖代謝異常、脂質代謝異常、肥満)と歯周病との関連を縦断的に検討し、詳細な両者の関係を明らかにすることを目的としている。調査対象は申請者が参画している「大迫研究」のコホート集団(岩手県花巻市大迫町在住、55歳以上の男女)であり、1986年から続いている医科検診および2004年から導入された歯科検診から得られるデータを基に解析を行うものである。平成23年度は、10月~3月の間に計5回の医科・歯科検診を実施した。受診した125名に対しパノラマX線撮影を含む歯科学検査(口腔内診査、歯周病検査、口腔衛生状態および義歯に関する聞き取り調査)および医科学検査(血液検査、身体検査、喫煙暦・飲酒暦・既往歴等の聴取)を行い、歯周病を評価する包括的歯科データならびに動脈硬化のリスクファクターの評価指標となる各種データを得た。パノラマX線撮影と歯周ポケット測定による口腔診査を併用することにより、歯周病に対して極めて客観性の高い評価が可能となる。歯周病と動脈硬化との関連を扱った疫学研究において、パノラマX線撮影を導入しこれほど包括的な評価を行った縦断研究は国内では少ない。また、本研究はこれまでに高い精度と質をもつ「大迫研究」の成果に裏づけされたコホート集団を対象に実施するものであり、多数の交絡因子についてもデータ採得が可能で、国際的にも信頼性の高い成果が得られると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野、同医薬開発構想寄附講座、歯学研究科加齢歯科学分野、岩手県立大迫病院および岩手県花巻市大迫総合支所保健福祉課の協力により計5回の医科・歯科検診を実施し、125名から各種データを採得することが出来た。この125名には、約4年の間隔をあけ2度目の受診となった75名を含んでいる。口腔内診査にあたっては、歯科治療の必要性が認められた者には口頭と文書にて説明を行い、歯科受診を促した。また、重篤な疾患の診断には本学歯学研究科口腔診断学分野の協力を仰ぎ、そのような病態が検出された場合には後日、文書にて調査協力者に通知した。着実にコホートを拡大しつつ、すでに得られているデータと併せて整理・解析を進めることが出来たため、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の調査対象は岩手県花巻市大迫町在住の55歳以上の一般住民であるが、「大迫研究」では、対象となる大迫町を4つの地域に分け、一年ごとに異なる地域の検診を行っている。そのため、同地域の検診は4年ごとということになる。今後は、平成23年度に引き続き、被験者の選択、歯科・医科学検査を行い、コホートの拡大を図るとともに、約4年の間隔をあけて2度検診を受診した者を抽出し、データを統計解析に供することで、歯周病の重症度による動脈硬化リスクファクター発症の相対リスクを検討する。得られた結果については、各種学会および学術雑誌において成果報告を行う予定である。また、本研究の申請期間内に得られた調査結果はデータベース化し、将来的な追跡研究の基礎とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初資料収集・整理に要する人件費・謝金として計上していた経費を、歯科パノラマ断層撮影費の負担に充てたために生じたものであり、次年度以降に実施する資料整理に伴う謝金に必要な経費として、平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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