研究課題/領域番号 |
23792498
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20400260)
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キーワード | メタボローム / バイオフィルム / 代謝 / う蝕 / 細菌 / アミノ酸 |
研究概要 |
Sorbitol(Sor)は、Xylitol(Xyl)と同じ糖アルコールであるが、一部の口腔細菌は代謝可能で酸が産生される。しかし、代謝速度が遅く、単菌での研究結果では嫌気的条件下での乳酸産生が少ないため、う蝕誘発性は低いと考えられてきた。そこでin vivoのヒトプラーク(HP)のSor代謝について、メタボロミクス的に比較検討した。 被験者6名より、glucose(Glu)溶液、Sor溶液、Glu+Sor溶液及びXyl溶液の洗口前後でHPを採取し、糖代謝経路(解糖系、リン酸五炭糖回路、TCA回路)の代謝中間体・代謝産物、各種アミノ酸等を対象とし、CE-TOFMSによるメタボローム解析を行った。 Sor洗口では、Sor6リン酸、各種糖代謝関連中間体が確認され、HPがSorを代謝することが示された。しかし、乳酸はごく僅かで、解糖系・リン酸五炭糖回路関連中間体はglu洗口時と比べ少なかった。一方、acetylCoAの検出量が比較的高く、pyruvateから乳酸への代謝ではなくacetylCoAを経由した代謝が主に行われている可能性が示唆された。さらに、ほとんどのアミノ酸はGlu洗口時に減少したのに対し、Sor洗口時には逆に増加する傾向を示したことから、解糖系は機能しても、gluのようにアミノ酸代謝は行われていないことが示唆された。一方、Xylでは解糖系がほとんど機能しないのに対し、アミノ酸はGlu同様の減少傾向が見られたことから、同じ糖アルコールでも傾向が異なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室の入っている建物の改修に伴い、数か月間の実験中断を余儀なくされたため。 また、改修中は実験設備に一部制限があるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に遂行できなかった実験などについて、引き続き本年度に実験を行っていく予定である。 また、成果発表なども本年度に積極的にしていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究棟の改修工事が急きょ決まり、実験の中断を余儀なくされたこと、また、改修工事中は実験機器の使用に一部制限があり、予定していたよりも進行に支障がでたため、次年度使用額が生じた。 前年度に取り組めなかった実験を遂行するとともに、得られたデータの公表(学会発表、論文発表)に努めていく予定である。
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