研究課題/領域番号 |
23792511
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉仲 正記 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40403034)
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キーワード | 味覚 / 認知機能 |
研究概要 |
平成23年度に引き続き,平成24年度は大阪(兵庫県伊丹市および兵庫県朝来市),東京(東京都板橋区および東京都西多摩地区)の80歳高齢者約1000名を対象に口腔感覚の試験を行った.味覚試験は前年度ど同様,全口腔法を用いた。すなわち、倍希釈で調整された四基本味(甘味;サッカロース,塩味;塩化ナトリウム,酸味;酒石酸,苦味;塩酸キニーネ)溶液各1mlを口腔内へ含んでもらい、被験者に味質の回答を指示した。正しく味質を判断でした時点を認知閾値(味質を正確に判別できる最小濃度)とした.また、喫煙習慣、飲酒習慣、高血圧や糖尿病などの各疾患の既往および服薬状況、主観的な味の満足度などの回答を得た。さらに、口腔立体認知機能試験(口腔内に入れた試験片の形態を回答する)および認知機能試験(MoCA:The Montreal Cognitive Assessment)を行い、味覚閾値とそれぞれの因子との関連を検討した。 平成23年度に行った70歳高齢者との味覚閾値を比較した結果,四基本味全てにおいて,70歳高齢者と80歳高齢者との間に有意差が認められ,80歳高齢者の方が味覚閾値が高くなった. また、70歳高齢者における味覚の関連因子について第23回日本老年歯科医学会学術大会および平成25年度日本補綴歯科学会関西支部学術大会において発表した。主観的な味の満足と各味質との間に有意な関連は認められなかった。高齢者における味覚の低下は、各味質により傾向が異なり、味質特異的に服薬状況や高血圧、喫煙習慣、飲酒習慣といった生活習慣と関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールド調査の特性上、恒温槽による温度管理が困難なため、温度感覚試験は中止したが、データの収集については順調に行えていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータの分析を行う。 最終年度では、初年度の高齢者の追跡調査を行うため、分析を進めつつ、縦断的検討も行い、研究を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の追加購入および調査費用に使用すると同時に、分析結果を学会発表を行う予定であるため、学会旅費として使用予定である。
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