高齢者の健康を維持するために誤嚥性肺炎の予防は重要である。特別養護老人ホーム(以下、特養)の入所高齢者に対する口腔ケアは。介護職員が担当することが多い。本研究では、よりよい口腔ケアを提供するために、介護職員と歯科衛生士の連携について検討した。 平成23年7月にインターネットサイトWAM NET掲載の埼玉県内261の特養で口腔ケアを行っている歯科衛生士に対し、口腔ケアの状況や職員との連携等に関する無記名自記式質問紙調査を実施した。統計学的検討行い、平成24年日本歯科衛生学会で「特別養護老人ホームで歯科衛生士が行う口腔ケアに関する基礎的調査」として発表をした。 結果は、歯科衛生士と介護職員の連携は十分であるかについては、十分であるが8名(32.0%)、十分でないが6名(24.0%)であった。十分であるとした理由として、ケア前後に連絡事項の確認をしている、問題ごとに報告している、があげられた。十分でないでは、介護職員で協力的とそうでない人がいる、思いがうまく伝わらない、基礎知識に差がある、月1回の合同会議では急な問題の時に対応が遅れるがあげられた。 どちらともいえないでは、忙しそうでコミュニケーションが取れない、介護職員にではなく看護師を通して伝達している、交代勤務で様々な高齢者がいるので口腔内の状況の把握が難しい、勉強会や意見交換会がない、週に1回の訪問なので伝わらない、などがあげられた。 施設に勤務する歯科衛生士が必要だと思うかについては、常勤で必要が3名(11.5%)であった。必要でないと回答したのは7名(26.9%)であった。約65%の者が、施設に勤務する歯科衛生士の必要性を感じていた。入所者に口腔ケアを直接提供する機会が増えること、介護職員や看護師と連携が取りやすくなる等、口腔ケアの充実のために今後施設に勤務する歯科衛生士が増えることを期待したい。
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