研究課題/領域番号 |
23792521
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
渡部 芳彦 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (20360068)
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キーワード | 口腔機能向上プログラム / 歯科衛生士 / 介護予防 |
研究概要 |
平成25年度は、(1)介護予防制度における口腔機能向上プログラムの運用課題の調査と、(2)口腔ケアに従事するフリーランスの訪問歯科衛生士の事例を調査した。前者(1)は、同プログラムの改善策を探ることを目的に、S市内4ヵ所の地域包括支援センターの担当職員にヒアリング調査を実施し、下記1)~6)のような結果を得た。1)行政から毎月一定数(10~40名)の該当者が地域包括に通知されている。2)それらの人に対して、先ず電話にてサービス利用の勧誘を行い、その後数回の訪問を行う。3)担当職員は他の業務の合間に本業務に従事しているような感覚を持つ。4)本サービスが一般に知られていないのと、電話口では該当者としての自覚がほとんどない。これまでの報告と同様の理由(必要性を感じない、歯科に通院している等)で断られることが多い。5)口腔サービスは運動サービス利用者のように、事後に自主グループなどを形成しづらく取り組みが継続され難い。6)サービス事業所に対しての要望よりも、本サービスの制度的な課題を指摘する要望(書類の多さ。真に必要な人がスクリーニングされていない。サービスの周知不足等)が多く挙げられた。以上の結果から、本サービスに関する更なる周知や、手続きの簡略化、サービス継続のためのしくみづくりが必要と考えられた。また、行政サイドにも地域包括支援センターにも歯科衛生士等の専門職がいないことが、適切なサービス対象者の発掘に結びつかない一要因と考えられた。 一方、フリーランス歯科衛生士の事例研究(2)においては、その業務や契約のあり方を本人から聴き取るとともに、高齢者施設において当該歯科衛生士が推奨する口腔ケア方法の伝達状況の調査を通して、「施設への歯科衛生士の関与」を把握することを試みた。介護職員42名からのアンケート回答結果の分析から、歯科衛生士が施設に定期的に関与する意義が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
延長申請が認められたことによって、期間内に完了できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、平成25年度までの研究を統合する形で「歯科衛生士の働き」に視点を当てたまとめを行う。また、成果を社会に還元することを目的に、日本老年歯科医学会、日本口腔ケア学会等での学会発表と、各種研修会・講演会での研究成果の紹介を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災に伴う優先度の高い単年度の調査等業務の増加により、相対的に本研究事業のエフォートが低下したことが主因である。 繰越額(195,019円)は、主として成果発表の旅費<日本老年歯科医学会(福岡市)、日本口腔ケア学会(旭川市)>に充てる予定である。
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