研究課題/領域番号 |
23792536
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 麻未 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10451767)
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キーワード | 協働 / チームビルディング |
研究概要 |
医療において有効なチームビルディングの方法を明らかにするために、昨年度のデータをフィードバックして管理者からの意見を聴取するとともに、医療従事者を対象とした面接調査を実施した。チームを構成する医療従事者の配置方法による比較も行うために、チームメンバーが、患者ケアを行う病棟に配属されている病棟配属型チーム、病棟に配属されていない職種も含めて、患者ケアをそれぞれが遂行しながらカンファレンス等を通じて情報共有を行っている自立連携型のチームの双方を対象とし、そのメンバーである看護師、リハビリテーションスタッフ、社会福祉士、臨床工学技士からデータを収集した。得られたデータは、Kleinらの示したチームビルディングの4つの要素である目標設定、対人関係、役割の明確化、問題解決を枠組みとし、これらを対象とした取り組みに分類した。目標設定を対象とした取り組みとしては、互いの価値観の理解と共有、チームの仕事の成果の共有、対人関係に対しては、互いの能力の理解と信頼の醸成、葛藤への対処、役割の明確化に対しては、互いの強みの活用、配分の公平性、問題解決に対しては、スタッフの関心事を拾い上げる仕組みなどがあげられ、それぞれの具体的な手法が明らかになった。自立連携型のチームでは、これらに取り組む上で、病棟配属型チームよりも時間的負担が大きく、非公式な情報共有の機会が多く得られることが必要であった。また、4つの要素に加え、これらを支える要素として、管理者がスタッフ個々に個別的配慮を行うこと、チームに一定の自律性が認められていること、メンバー構成のバランスも重要であることが明らかになり、チームが内在している組織の管理手法の影響も大きいことが示唆された。さらにこれらの取り組みは、職種内で展開され効果を発揮した上で職種間関係に適用される例が多く、職種内関係も、職種間関係の基盤として重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、昨年度のデータのフィードバックと討議を通して協力体制について調整を行い、現在行われているチームビルディングの取り組みについて調査を行う予定であった。質的調査を実施することができたが、データのフィードバックと討議に時間を要し、質問紙調査によるデータ収集に至らなかった。継続的に協力を得る予定であるが、年度ごとの計画からみると、やや遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、量的データの収集に至らなかったため、次年度に使用予定の費用が生じている。これについては、引き続き協力施設と話し合い、スケジュールを調整し、早期に量的データの収集を開始し、印刷・輸送費として使用する。次年度請求分の研究費は、これに加え、データ収集および成果発表のための旅費として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次の段階として、医療におけるチームビルディング活動の効果を明らかにし、フィードバックによる変化をみるために量的調査を実施する予定であり、そのための印刷・郵送費に用いる。また、データ収集及び研究成果の発表のための旅費、論文校正の費用として用いる。
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