チームビルディングに関連する活動の実施状況とチームの機能との関連をみるために、3施設28病棟を対象に質問紙調査を実施した。チームビルディング活動としては、前年度までの調査に基づき、目標設定、対人関係、役割の明確化、問題解決の4つの要素を焦点とした活動を表す項目を尺度化して用いた。チームの機能としては、革新的風土を測定する尺度である日本語版Team Climate Inventory(TCI)に加え、チームの仕事に対する自己評価、チームメンバーとしての満足感を問う質問項目を設定した。分析の結果、チームビルディング活動は、「個々の表出の促進」「管理者やリーダーによる成果の強調」「公平・明確な役割関係の構築」の3因子構造であった。個人レベルの分析により、これらの3因子は、TCI得点、チームの仕事に対する自己評価、チームメンバーとしての満足感と有意に関連しており、これらの活動がチームの機能を高める上で有用であることが示唆された。得られたサンプル数からは、これらの得点について看護チームと看護/介護チームの間での差を分析することは困難であり、チームビルディングが職種内関係と職種間関係に異なった影響を及ぼすかどうかは、今後継続した比較分析が必要と考えられた。 また、28病棟のうち20病棟では、チームビルディングの実施状況とチームの機能の継時的な変化をみるために、7月および2月の2時点で調査を実施した。分析の結果、チームビルディングの3因子、TCI得点、チームの仕事に対する自己評価、チームメンバーとしての満足感の平均値は2回目の調査時点で低下する傾向があり、一部では有意な低下が認められた。チームビルディング活動については、調査時期によってその必要性が変化した可能性があるが、チームの機能の低下については、他の要因の影響も大きいと考えられ、背景要因をさらに探索する必要があると考えられる。
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