本年度は研究最終年度である。本年度は、これまでの文献的考察ならびに倫理的課題の抽出作業の中で明らかとなった、看護領域で実施されるヒトを対象とする研究に特有な研究倫理上の問題点・困難について、医学領域における研究倫理上の問題点・困難と比較研究を行い、その相違等についてまとめを行った。特に、医学研究一般の倫理原則としてベルモント・レポート(1979年、米国)に示された「善行(無害)」、「人間としての尊厳の尊重」、「公正」に加えて、看護学研究において今日追加されている、「誠実」、「真実性」、「機密保持」の原則、ならびに、「アドボカシー(擁護)」、「アカウンタビリティー(責任と責務)」、「協同」、「ケアリング」の原則のいくつかが、看護学研究自らに倫理的困難を生じている原因であることを理論的に考証し、その研究成果については学術論文にまとめ公表を行った。さらに、この論文公表の過程において見出された、看護学研究に関連する専門学術誌の公正性と倫理姓をめぐる問題について、発表倫理に関する事例としてとりあげ論説にまとめた。
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