研究課題/領域番号 |
23792539
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 里砂 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40534938)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 転倒予防 / 診療ガイドライン / インシデント予防 |
研究概要 |
本研究では、インシデントの中でも圧倒的に報告件数の多い「転倒」に焦点を当てて、看護師が実際に行っている転倒予防策と診療ガイドラインの推奨内容とのギャップを明確にし、それに基づいた転倒予防策を検討、実施し、対策の効果を評価することを目的とする。 平成23年度は、診療ガイドラインの収集と内容の整理を行った。診療ガイドラインの収集には、PubMed、Cochrane Libraryおよび検索エンジン「Google」を用いた。キーワードには、fall、guideline、"practice guideline"、"clinical guideline"などを用いた。PubMed、Cochrane ibraryの検索に際しては、前述のキーワードに加え、MeSH Termである"accidental falls"や表示項目(タグ)の"practice guideline"も使用した。また、海外で診療ガイドラインを掲載している主要なサイトであるNational Institute for Health and Clinical ExcellenceやAgency for Healthcare Research and Qualityなどのサイトでも検索を行った。その結果、本研究の目的に合致した診療ガイドラインは14件であった。 転倒予防方法に関する推奨内容のうち、多くのガイドラインで比較的高い推奨度であった内容は、対象者の転倒リスク評価(精神状態、運動機能、視力、服薬状況、転倒歴など)、運動プログラムの実施(筋力の維持、個人に合わせたプログラム)、リスク評価に応じた多角的な介入であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、診療ガイドラインの収集に際して、系統的な検索を行うために、当初はPubMedを主なリソースとして様々なキーワードで検索を行ったが、本研究の目的に合致する診療ガイドラインはほとんど得られなかった。その後、Googleや海外で診療ガイドラインを掲載している主要なサイトでの検索を行った結果、必要なガイドラインを入手することができた。しかし、診療ガイドラインの収集方法を見直す時期が遅かったことが、研究の遅れにつながったと考える。 次に、診療ガイドラインの内容の整理において、ガイドラインによる記載方法や表現の違いなどにより、内容の検討、整理に時間を要してしまったことも原因である。 さらに、予定していた研究補助員の協力が得られなかったこと、研究代表者が予定していたエフォートを達成できなかったことも原因である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に整理した診療ガイドラインの内容をもとに質問紙を作成し、質問紙調査を実施する。診療ガイドラインの内容に関して、整理した内容の信頼性を確保するために、研究補助員に確認を依頼する。研究補助員にはすでに依頼済みである。質問紙の作成にあたっては、入手した診療ガイドラインはすべて海外のものであるため、診療ガイドラインに熟知したスーパーパイザーや臨床の看護師にヒアリングを行い、日本での適用可能性を考慮した上で、質問紙を作成する。 質問紙調査終了後、記述集計を行い、診療ガイドラインの推奨内容と比較し、エビデンス・診療ギャップを明確にする。このとき、医療安全に熟知した研究者と協議を行う。そして、明確になったエビデンス・診療ギャップを基に、転倒予防策を検討する。転倒予防策の検討では、臨床の看護師の協力を得て、日常の業務の中で実現可能な方法を検討していく。 平成23年度は、予定していた研究補助員の協力が得られなかったことが、作業の進捗に大きく影響したため、平成24年度は、必要な協力者へは事前に依頼を行い、作業が中断しないよう対応していく。現時点では、質問紙を作成・郵送するまでの研究補助員および協力者は決定しており、今後は研究を進めるとともに、転倒予防策の検討における協力者や実際に介入を行うフィールドの確定なども進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査のための予算として、封筒や用紙などの文具類(25万円)、印刷費(10万円)、郵送料(80万円)、質問紙の配布・回収・データ入力協力者謝金(30万円)、病院要覧(3万円)、データ管理用品(ファイル、ポータブルハードディスク)(3万円)を計上した。また、質問紙の作成や転倒予防策の検討のための会議・ヒアリング等交通費(10万円)、会議の準備のための通信費や印刷費(3万円)、情報収集のための学会参加費(10万円)を予定している。さらに、平成23年度に実施した診療ガイドラインのレビューについて、国際学会での報告を予定しており、その参加費および旅費(30万円)を計上した。
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