研究課題/領域番号 |
23792543
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
田中 真木 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00405127)
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キーワード | 看護学生 / 臨地実習 / 倫理観 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究の第1段階として、臨地実習の経験がある看護学生20名程度に半構成的インタビューを行い、臨地実習で遭遇した倫理問題への対処行動からみえる看護学生の倫理観を質的帰納的手法によって記述し、看護学生の持つ倫理観の仮説的特質を抽出した。その内容を、スーパーバイザーと検討した結果、平成24年度は、昨年度の経過を踏まえ、インタビューガイドの見直し、インタビュー参加者募集方法の再検討、さらにすでに抽出した看護学生の持つ倫理観のラベリングの見直しを最重要課題とした。質的手法に関わる書籍や文献を集め、抽出の精度やより的確なラベリングにすべく再度検討を行った。その検討を基に、平成23年度の3つの課題①対象の教育機関が1校であったこと、②対象者選定基準である全領域の実習を終えた学生は4年生の後期に該当するため、従来の授業に追加して卒業研究や国家試験勉強等の個人的要因があり、研究へのインタビュー時間が確保しにくいこと、③研究者と対象者は教員と学生という影響力の高い立場であり、その倫理的配慮をするに当たり研究参加を募る方法が限られてしまうこと)を踏まえ、平成24年度後期学期より更なるデータ収集を実施する計画であったが、研究代表者が産休のため、平成24年度後半から平成25年度まで研究を一時中断し、平成26年度から研究実施を再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の第1段階(平成23年度)では、臨地実習の経験がある看護学生20名程度にインタビューを行い、質的手法で看護学生の持つ倫理観の仮説的特質を抽出することを目的とした。続く第2段階(平成24年度)では、第1段階で得られた特質を検証するため多数の看護学生を対象に質問紙調査を行い、そこから、看護学生の持つケアリングの倫理観を類型化し、今後の看護倫理教育の在り方を探求してゆくことを最終目標に挙げている。平成23年度の質的分析手法による仮説的特質はサンプル数7名という中で行ったものであり、平成24年度にリッカート法での質問紙作成には十分なサンプル数とは言えない。その具体的理由としては、対象の教育機関が1校であったこと、対象者選定基準である全領域の実習を終えた学生は4年生の後期に該当するため、従来の授業に追加して卒業研究や国家試験勉強等の個人的要因があり、研究へのインタビュー時間が確保しにくいこと、さらに、研究者と対象者は教員と学生という影響力の高い立場であり、その倫理的配慮をするに当たり研究参加を募る方法が限られてしまうこと(今回、対象者を募る方法として、対象教育機関内に研究参加依頼のポスターを掲示し、それを見た対象者が直接研究者へ連絡を取るという方法を取った)が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策について、平成23年度の第1段階で得た課題(サンプル数が増えなかったことについての理由:①対象の教育機関が1校であったこと、②対象者選定基準である全領域の実習を終えた学生は4年生の後期に該当するため、従来の授業に追加して卒業研究や国家試験勉強等の個人的要因があり、研究へのインタビュー時間が確保しにくいこと、③研究者と対象者は教員と学生という影響力の高い立場であり、その倫理的配慮をするに当たり研究参加を募る方法が限られてしまうこと)から、平成24年度は、計画を修正し、サンプル数を増やし、質的手法を用いた分析を継続する。そこで得られた豊富なデータから看護学生の持つ倫理観の仮説的特質を明らかにし、次段階の量的調査へ移行してゆく。前年度の課題からの具体策としては、7名だったサンプル数を増やすべく、目標を更に20名に設定し、研究対象機関を増やし、より多くの対象者へアプローチしてゆく。研究対象者の個人的要因(前年度課題②)から、全領域実習が終了する平成24年10月以降に研究公募を開始せざるを得ない状況の中、よりサンプル数を獲得すべく、研究対象機関内に掲示する研究参加公募ポスターは、連絡先をより見やすく明記する工夫を行う。さらに研究参加に伴う謝礼についても対象者が事前に周知しやすいようポスターへ明記してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題再開後の研究実施計画について、平成24年度は本来研究最終年度であるため、研究を再開する平成26年度は平成24年度の研究計画をそのまま反映し、実施してゆく計画である。大きな変更点は無く、具体的には、平成23年度の第1段階で得た課題(サンプル数が増えなかったことについての理由:①対象の教育機関が1校であったこと、②対象者選定基準である全領域の実習を終えた学生は4年生の後期に該当するため、従来の授業に追加して卒業研究や国家試験勉強等の個人的要因があり、研究へのインタビュー時間が確保しにくいこと、③研究者と対象者は教員と学生という影響力の高い立場であり、その倫理的配慮を行うに当たり研究参加を募る方法が限られてしまうこと)から、課題をクリアすべく、目標サンプル数を更に20名へ設定し、研究対象機関を増やし、より多くの対象者へアプローチしてゆく。研究対象者の個人的要因(前年度課題②)から、全領域実習が終了する10月以降(年度の後半)に研究公募を開始せざるを得ない状況の中、よりサンプル数を獲得すべく、研究対象機関内に掲示する研究参加公募ポスターは、連絡先をより見やすく明記する工夫を行う。さらに研究参加に伴う謝礼についても対象者が事前に周知しやすいようポスターへ明記してゆく。そのような対策を取りながら、対象サンプル数を増やし、質的手法を用いた分析行い、そこで得られた豊富なデータから看護学生の持つ倫理観の仮説的特質を明らかにし、得られた結果をまとめ、成果発表を行う。
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