今年度の研究実績について、平成26年度に変更した研究計画を概ね達成した。第2段階(量的手法での調査)へ向けての豊富な質的データを収集すべく、看護学生が臨地実習上で経験した倫理的問題とその対処行動から彼らの倫理観を抽出した。平成26年度の課題(サンプル数が増えなかったことについての理由:①対象の教育機関が1校であったこと、②対象者選定基準である全領域の実習を終えた学生は4年生の後期に該当するため、従来の授業に追加して卒業研究や国家試験勉強等の個人的要因があり、研究へのインタビュー時間が確保しにくいこと、③研究者と対象者は教員と学生という影響力の高い立場であり、その倫理的配慮を行うに当たり研究参加を募る方法が限られてしまうこと)から、課題をクリアすべく、目標サンプル数を増設し、研究対象機関を増やし、より多くの対象者へアプローチした。研究対象者の個人的要因(前年度課題②)から、全領域実習が終了する10月以降(年度の後半)に研究公募を開始せざるを得ない状況の中、よりサンプル数を獲得すべく、研究対象機関内に掲示する研究参加公募ポスターは、連絡先をより見やすく明記する工夫を行った。さらに研究参加に伴う謝礼についても対象者が事前に周知しやすいようポスターへ明記した。サンプル数の確保が課題であった前年度の修正点を踏まえ、対象者の研究参加依頼を実習や演習等が始まる前の平成27年度4月から行うこととし、研究対象者へのアプローチを掲示版での公募による手上げ式と共に、snow-ball samplingも併用した。結果、サンプル数は増え、半構成的面接を実施し逐語録を作成し、質的手法で看護学生の遭遇した倫理問題とその対処行動を分析した。分析は、海外及び国内の質的研究者よりスーパーバイズを得ながら実施した。結果、22の倫理的問題と10の対処行動が抽出された。そこから看護学生の持つ倫理観の特徴が明らかとなった。
|