研究課題/領域番号 |
23792546
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前川 泰子 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 准教授 (60353033)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 腰部負荷 / 看護ケア / 可視化 |
研究概要 |
腰痛発生リスクを伴うものが多い看護業務において,本研究では,看護技術動作が腰部へ及ぼす負荷量を定量的に測定し,結果を可視化して明示する手法の開発を目的とする.先行研究で示した腰部負荷に影響するひねり因子とその負荷量の関係をもとに,本年度は,日常行われているベッドから車椅子への移乗介助を3方法で実施し,腰部のひねり角度と表面筋電図を測定して,そのデータをもとに腰部負荷を可視化することを試みた.まず,可視化モデルを検討するために文献のシステマティックレビューを行い,可視化システムに必要な機能の抽出・検討を行った.次に,看護ケア時の腰部負荷に関するデータ収集のため,同一患者役に対して,日常的な看護ケアを教科書に基づく方法や臨床でよく実施されている方法で実施してもらい,(1)看護技術動作以外の要因(被験者の年齢,性別,看護の経験年数,日常の運動量等),(2)看護技術動作に含まれる姿勢(撮影した動画像をもとに分析する),(3)看護技術動作時の腰背部の筋活動(撮影した動画像・筋電図),(4)看護技術動作時の腰背部のひねり(ゴニオメータ)のデータを収集した(被験者は看護技術手順を熟知している看護師,または看護学生).収集したデータをもとに,ベッドから車椅子への移乗介助に含まれる各動作ごとに,ひねり角度,ひねり角速度,ひねり角加速度とそれぞれの筋負荷量の関係をグラフ化し,対散布図を使って,3方法別腰部筋負荷の特徴を分かりやすく明示することを実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画にあげていた腰部負荷量の可視化に向けた文献のシステマティックレビュー,ベッドから車椅子移乗介助における腰部ひねり角度・表面筋電図データ収集と分析を行い,可視化に関する手法の一つとして,対散布図を利用した方法を試みた.可視化の手法に関しては,まだ検討の余地があるが,概ね計画どおりに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
可視化の手法に関して,腰部ひねり角度と筋電図データを用い,人体の負荷をさらにイメージしやすいように,人体モデルとして再構成させ,看護ケア時の人体モデルによる負荷部位の表示,負荷量の大小を視覚化して明示させることを考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究成果を国際会議で発表するための学会参加費と旅費,および今後の研究を遂行する上での設備費,次年度の研究成果を発表するための学会参加費,学会投稿,論文冊子,別刷りの印刷費等に使用する予定である.
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