病院に勤務する看護師を対象にしたマインドフルネスプログラムを作成し、1総合病院においてプログラムを実施し、実施前後のメンタルヘルス等について評価を行った。プログラムは、簡略化した1時間のものと、8週間プログラムの2種類を実施した。 1時間の研修は、主任看護師を対象として介入群(33名)と対照群(44名)に実施し、実施前と実施1か月後に評価した。1か月後の尺度得点を従属変数とし、介入前の尺度得点や属性を共変量として共分散分析を行ったところ、ほとんどの尺度得点において、介入による影響は有意ではなかった。結果より、マインドフルネスは継続的なトレーニングが必須であり、1時間の研修では効果が表れにくいと考えられた。ストレッサ―である心理的な仕事の負担(量)については、介入による影響が有意で、介入群の方が対照群よりも心理的な仕事の負担(量)の減少が大きかった。ストレス反応は変化がなかったが、仕事の量的負担をストレッサーとして感じにくくなった可能性が示唆された。 8週間プログラムは、参加者が4名であったため、個人ごとに尺度得点の変化を評価した。その結果、全てのストレス得点が改善した者が1名、一部の尺度得点は改善、一部は変化なし、その他の得点は悪化した者が3名であり、属性やホームワークの実施頻度なども影響する可能性が示唆された。記述式アンケートでは、プログラム参加により無駄に悩む時間が減った、感情をぶつけることが減った、健康状態を気にするようになった、眠りにつきやすくなった、などの日常生活における心身の様々な変化が語られていた。 本研究はサンプル数の少なさやランダム割り付けを行っていない等の限界があるが、ストレッサーの減少や、参加者の心身のポジティブな変化が見られ、看護職に対しマインドフルネスプログラムが有効である可能性が示唆された。今後はさらに内容を検討し、データを蓄積して分析する予定である。
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