研究課題/領域番号 |
23792558
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
樋野 恵子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (30550892)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 明治初期 / 医療 / 近代化 / 看護 / 家庭 / 病院 / 初学人身窮理 |
研究概要 |
現代では看護の対象を生活者として捉え、病院看護と家庭看護の連携が求められている。本研究は、日本の医療史の中に病院看護と家庭看護の源流を探ることを目的とした。 筆者は先行研究において明治初期に出版された翻訳病院看護書『看護心得』、翻訳家庭看護書『醫師の来る迄』について、原著と翻訳書との内容比較検討を実施した。今回は明治初期に初等教育の教科書として採用され、広く普及した翻訳解剖・生理・衛生学書である『初学人身窮理』を研究史料とした。原著者Calvin Cutterはアメリカの開業医であり、1840年代から1850年代にかけて生理・衛生知識の普及活動を各地の都市で行いながら啓蒙書を多数出版していた。日本においても翻訳書が明治6年から明治20年代まで繰り返し改版・改訳されていた。この『初学人身窮理』の一部に看護に関する章が存在した。筆者の先行研究で取り上げた翻訳病院看護書『看護心得』と翻訳家庭看護書『醫師の来る迄』が看護者として男性を想定していたことに対し、『初学人身窮理』では看護を女性に適した技能としていた。また、医学教育は発展しているのにもかかわらず、いまだ看護学教育を施す施設は日本国内においては皆無であることを嘆き、看病法を知らない女性は十分な教育を受けていないものと同等であると述べていた。 現在は書誌学的調査を実施し、版ごとに翻訳書と原著との対応関係を検討中である。また、看護に関する記述部分を中心に、原著と翻訳書との内容比較を行い、翻訳の特徴と変化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究はおおむね計画通りに進行しているが、平成23年度は学術集会において学会理事としての役割遂行に専念したため研究成果の発表ができなかった。また、研究史料の収集に計画より時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿い、原著・翻訳書の比較検討、周辺領域の調査分析を経て論文を作成し、学術集会・学会誌において研究成果を報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は歴史関連の書籍購入、国内における学術集会参加費、研究成果報告のための海外学会参加費・旅費、論文投稿のための英文校正費・投稿費、研究成果報告書印刷費として使用する計画である。
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