本研究の目的は、看護師の感情労働に伴う感情の揺さぶられを理解する為のセルフチェックツール(The self-confirmation tool nurs emotional labor)を開発することであった。本研究では、看護師の感情労働を、看護師が患者に合わせて感情表現を行うために、“感情の揺さぶられ”が起こる看護活動と定義した。これまでに行った質的研究から得られたモデルに基づき、2つの側面でそれぞれの質問項目を作成した。また、それぞれの質問項目の適切性を評価するために、病院で勤務する中堅レベル以上の看護師に協力を依頼し、文章表現や形式の検討および修正を行った。さらに、50項目の原案を看護師1149名に配布し、951名から回答を得た(回収率82.8%)。正規性の確認される項目を抽出し、バリマックス回転による探索的因子分析を行なった。その結果、感情労働によって負荷のかかった状態を示す項目では、看護師としての責任の重圧につぶされそうになることがあったに代表される「看護活動への疲弊」、この頃の私には日々の看護を振り返る余裕がないに代表される「看護活動の作業化」、患者の気持ちを察することが面倒だと感じるに代表される「感情鈍麻」の3因子19項目で最適解が得られ、内的整合性は、Cronbach's α=0.84で確保された。また、負荷のかかった状態から抜けだそうとする(ポジティブな帰結にいたる)状態を示す項目では、仕事が楽しくて仕方がないに代表される「充実感」、看護師としての自覚を持って働いているに代表される「看護師としての自覚と役割」、今の部署には、仕事で困った時に適切な指導をしてくれる人がいるに代表される「メンター・サポーターの存在」の3因子19項目で最適解が得られ、内的整合性は、Cronbach's α=0.87で確保された。
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