研究課題/領域番号 |
23792577
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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キーワード | ストレス / 唾液 / アロマセラピー |
研究概要 |
本研究は、精油を用いた看護ケアによるストレス緩和・リラクセーション効果の検証を目的としている。今年度は精油を用いた下肢マッサージの精油別の効果を明らかにするために、2種類の精油を用いて実施した。 1)方法:成人女性2名を対象とし、精油なし(キャリアオイルのみ)、オレンジスイート・ティートリー精油のブレンド、ゼラニウム・ティートリー精油のブレンドの3パータンで下肢マッサージを実施した。対象者の条件として月経前症候群による気分の変調が影響しないよう、月経前後1週間を避けて実施した。また、精油は好みによりストレス緩和効果に差が生じるため、事前に対象者5名に10種類の精油の香りを嗅いでもらい、不快に感じないもの、系統の異なる香りを選択した。 2)評価指標:質問紙…Profile of mood states(POMS)短縮版・State-Trait Anxiety Inventory-Form JYZ(STAI)・VASによる快適感覚、アクティブトレーサーによる自律神経系活動LF/HF、心拍数、血圧、唾液中αアミラーゼ・コルチゾール濃度、腹部深部温、腸蠕動音、腹部表面温 3)結果:精油なしと比較し、オレンジスイート・ティートリー精油のブレンドでは、POMS下位尺度「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」が低下傾向を示した。腹部深部温、表面温はいずれもマッサージ前より終了直後に上昇した。 今年度は対象者が少なく統計解析ができていないため、今後対象者を増やし、質問紙による主観的評価・自律神経系活動、唾液中ストレスマーカーによる客観的評価でのストレス緩和効果、精油別の効果を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精油の選定および評価指標の妥当性の検証にやや時間がかかってしまったが、予備実験を重ねた結果、様々な評価指標でのストレス緩和効果の検証方法、対象者に負担の少ない研究プロトコールを確立でき、実際にそのプロトコールを用いて研究に着手できたため、おおむね順調に進展していると判断した。 また、前年度の研究成果を日本がん看護学会にて報告することができたが、論文化できていないため、今後進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
対象:成人女性20名 方法:今年度と同様に、全対象者にランダムに3パータンの方法で下肢マッサージを実施し、マッサージ前、直後から60分後までリラクセーション効果を評価する指標をモニタリングする。 評価指標:今年度と同様の評価指標で継続する。質問紙…Profile of mood states(POMS)短縮版・State-Trait Anxiety Inventory-Form JYZ(STAI)・VASによる快適感覚、アクティブトレーサーによる自律神経系活動LF/HF、心拍数、血圧、唾液中αアミラーゼ・コルチゾール濃度、コアテンプモニターによる腹部深部温・腹部表面温、腸蠕動音 分析:実施前後での変化、各評価指標との関連性、各対象者の経時的変化を詳細に検証し、リラクセーション効果を明らかにするとともに、看護ケアとしてどのように取り入れることが望ましいかを示唆できるようにすることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品として、マッサージで用いる精油およびキャリアオイル、唾液中ストレスマーカー解析のための試薬、アクティブトレーサー解析で用いる心電図センサー等に使用する。謝金は、実験データ入力・唾液測定時の補助のために使用する。また、研究成果報告のために学会参加旅費を計上する。
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