研究課題/領域番号 |
23792583
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
山田 章子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (90437103)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 痛み / CPOT / 人工呼吸器装着患者 / 非言語的コミュニケーション / アセスメント |
研究概要 |
集中治療室入室患者は、気管挿管・喀痰排出・創痛・体動制限・口渇などの身体的痛みや、外界との遮断感、治療に対する不安などの心理的痛みを感じることが多い。このような痛みは、不眠、見当識障害、不穏、興奮など生じ、さらには頻脈、血圧上昇、心筋酸素消費量の増加、凝固亢進、免疫抑制など、重篤な合併症を引き起こす危険性があるため、痛みのコントロールは重要である。言語的にコミュニケーションのとれる患者の場合、看護師は痛みの評価スケールを用いながら、直接患者に確認しながら痛みの有無や程度およびその変化を的確に把握することができる。しかし集中治療室入室患者は、しばしば人工呼吸器を使用することがあり、発声できず、意思疎通を図ることが難しい。痛みの評価スケールは、多数開発されているが、言語的コミュニケーションが艱難な患者に使用できるものは、極わずかしかなく、それらも看護師の主観に頼るため、看護師が患者の痛みを正確に評価できるような方法の確立が急務である。 本研究の目的は、集中治療室に入室し言語的コミュニケーションが困難な患者の痛みを、的確に把握するためのアセスメントツールを開発することである。 本研究は、3段階で構成されている。第1段階は、痛みの程度を測定する尺度の日本語版の作成およびその信頼性と妥当性の検証、第2段階は、集中治療室入室患者の痛みの構造化を行い、第3段階で、第1段階と第2段階で得られた結果をもとに、集中治療室に入室し、言語的コミュニケーションが困難な患者の痛みのアセスメントツールを作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の第1段階で使用予定であったBehavioral Pain Scale(BPS)よりCritical-Care Pain Observation Tool(CPOT)のほうが、上肢は筋肉の緊張をふまえて評価を行ったり、患者の動きを評価する身体運動が項目に含まれているため、患者の痛みの程度を把握しやすい。尺度であったため、日本語版BPSの作成から日本語版CPOTの作成に変更したため、当初の予定より、遅れている。現在日本語版CPOTの作成は、原本を日本語に翻訳し、専門家で検討し終えた。今後、検討した日本語版CPOTが、原文と相違がないかの確認を行うためのバックトランスレーションを行う予定である。 また本研究で、「痛み」の用語の操作的定義をどのように行うかが、重要であるため、痛みの概念分析を研究過程を加えたため、予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第1段階である日本語版CPOTのバックトランスレーションを行い、原文と意味内容の相違がないか、確認を行う。その後、作成した日本語版CPOTの信頼性と妥当性を検証するために、集中治療室に入室し、人工呼吸器を装着した患者を対象に調査を行う。調査は、刺激直後と刺激後30分の1クール2回を2人で行い、日本語版CPOT・BPS・RASS・血圧・脈拍・呼吸数の測定を行う。日本語版CPOT得点とBPS得点・血圧・脈拍・呼吸数・RASS得点の関連性および痛み刺激直後・痛み刺激後30分の日本語版CPOT得点の変動の分析を統計学的に行う。 第1段階の調査と並行して、第2段階の集中治療室入室患者の痛みの構造化も行っていく。これは、文献から集中治療室入室患者の痛みを整理し、調査用紙を作成し、臨調看護師に調査用紙を配布し、回収したデータをもとに構造化していく。 第1段階と第2段階で得られたデータをもとに集中治療室に入室し、言語的コミュニケーションが困難な患者の痛みのアセスメントツールの作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
痛みについての用語の操作的定義を行うために、痛みの概念分析が必要となったため、予定より計画が遅れているために、繰越金が発生した。 今後は、第1段階の日本語版の痛み尺度のバックトランスレーションを母国語を英語とする専門家に依頼するため、謝金を支払う。日本語版CPOTの信頼性と妥当性を検証するために、患者50名程度、臨床看護師20名程度に研究協力を依頼する。そのため、文房具や書類整理用品など購入する。 第2段階の調査を行うに当たり、文献の取りよせや文献整理に費用がかかる。臨床看護師に300名程度に発送する調査用紙の印刷、依頼状、封筒、発送返送の郵送料が必要となる。 第1段階と第2段階で得られたデータの整理を依頼するため、謝金が必要であり、得られたデータを統計解析するため、統計解析ソフトを購入する予定である。 本研究は、研究の妥当性を高めるために、専門家のスーパービジョンを受けて行うため、旅費が必要となる。さらに、関連する学会での情報収集や、得られた結果を発表するため、旅費が必要となる。
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